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(株)和光
活(い)きた版 「箔押しその7」

今回は、まだ箔押しユニットが完成しておりませんので、今までの実験で分かったことや箔版について書いていなかったことを書こうと思います。

前回、印圧が強い所が箔の転写がされなかった点ですが、実際箔押しをされている印刷オペレーターさんに質問したところ、「そうです。印圧が強過ぎても、箔は転写されないよ。」とのご返事。どうやら、常識の様です。(製版業として大変恥ずかしい事でした。)
それでは、どうして印圧が強過ぎたら、箔が転写されないのでしょうか?この質問には、明確なお答えがいただけませんでした。
しかし、実際に現象は発生していることなので、強すぎる印圧は禁物です。

次に、今まで書いていなかった事ですが、一般的に箔押しは金属版を使用し(箔押し用耐熱樹脂版も存在しますが)、熱を加えて箔押しをします。ここで問題となるのが、金属の熱膨張です。

熱膨張のメカニズム………物質は温度の上昇とともに、構成する原子の振動が激しくなり、原子同士がぶつからないようにするため、原子間距離が広がり、物質そのものが膨張します。

活(い)きた版 「箔押しその7」 - (株)和光 | 活版印刷研究所

電車に乗っている時にガタンゴトンと振動が起きるのは、レールの熱膨張を予測してレール1本1本の間に隙間を作っているからです。夏より冬に音が大きいのは、そのためです。
箔版は箔押し時に120℃〜140℃に熱せられますので、当然熱膨張が発生します。ある印刷組合で各金属版での熱膨張実験をされてましたのでご覧ください。

活(い)きた版 「箔押しその7」 - (株)和光 | 活版印刷研究所

この表は縦100mm横100mmの目盛りの各金属版を作製し、各温度で箔押した後、箔押しされた目盛りを読み取った表です。全ての金属版で熱膨張が発生しています。
作製データそのままで版を作製すると、箔押しした時にズレが発生してしまいます。
他のインキによる印刷と箔押し部分のバランスが関係ない場合は目立たないのですが、例えば、赤・箔押し・緑色のストライプ柄の丸など、バランスがシビアなデザインの場合、各色線のバランスがおかしくなります。

活(い)きた版 「箔押しその7」 - (株)和光 | 活版印刷研究所

そのため、弊社では箔版作成時に、99.7%縮小した版を作製しています。

これも最近知ったことなのですが、箔フィルムにおいても、あまり古い箔フィルムを使用すると、箔転写がうまくいかないことがあるそうなので、できるだけ古い箔フィルムの使用はおすすめできません。
実験に使用していた赤箔フィルムは3年ほど前のものなので、それも上手くいかない原因の一つかもしれません。

修正点が
1、天板の新調
2、アルミプレートの形状変更
3、熱源の変更(可能ならば)
4、印圧の均等化
5、箔フィルムの新調
の5点になりました。

また、箔版自体に模様を入れることで、箔表現を変化させることも出来ます。箔は印刷インキと違い、光を反射させることができるので、それを応用して表現するものです。
実験がうまくいったときには、この箔押しもしてみたいと思っております。

あっと言う間に12月です。今年のコラムの後半は箔押しばかりの話題になり、まだ続く模様です。長くなり申し訳ありませんが、もう少しお付き合いください。
皆様、よいお年をお迎え下さい。

活(い)きた版 「箔押しその7」 - (株)和光 | 活版印刷研究所

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