生田信一(ファーインク)
ノートの表紙がハードカバーに変身する便利グッズ
─着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」
今回のコラムは、昨年発売された文房具のアイデア商品の中から、ノートの表紙をハードカバーに変える着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」を紹介します。
この商品は、既製のA5サイズのノートの表紙をハードカバーにチェンジできるという優れものです。ハードカバーにすることで、ノート本体が強固になり、手にしたときに安定し、筆記しやすくなるなどの利点が生まれます。
商品の構造や使い方の解説は、株式会社ノウトのサイトに掲載されているムービーがわかりやすく親切です。合わせてご覧ください。
着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」(A5ノート用)
着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」は、A5サイズのノートの表紙にハードタイプの板紙のパーツを差し込むことで、ノートの表紙を頑丈にします。構造や使い方の説明が難しいのですが、(ムービー1)でわかりやすく解説されています。参考にしてください。
「HAOLi-羽織-」は、株式会社ノウトが2021年4月にMakuakeサイトでクラウドファンディングを呼びかけを行ってプロジェクトがスタートしました。クラウドファンディングの詳細は以下を参照ください。
ファッションやTPOに合わせて表紙を着せ替えできるハードカバーノート&御朱印帳!
最終的には224人のサポーターが集まり、プロジェクトは成功裡に終わりました。2021年7月には、リターンも送付されてプロジェクトは無事終了しました。現在でも、「HAOLi-羽織-」は株式会社ノウトの定番商品として販売され、通販サイトで購入することができます。
内覧会(お触り会)に出かける
クラウドファンディングで呼びかけを行っている時に、この商品の開発・製造元の誠晃印刷で商品の内覧会(お触り会)が催されました。筆者も駆けつけて説明を開発者に直接聞くことができました。会場となった誠晃印刷には文具ファンが集まり、賑やかな会になりました。
購入できる着せ替えノートカバーの色展開や模様は、バリエーションが多数用意されました。(写真1〜3)はそのときに披露された商品の写真です。「色」「素材」「柄」はどれも個性的で、それぞれがオーラを放っています。私も選ぶのに随分迷いました。
筆者がクラウドファンディングで購入したのは、(写真4)の3つのタイプです。
一般発売に際しては、Makuakeで公示された表紙のタイプの全種類の発売は難しいため、クラウドファンディングで人気のあったものなど、種類を絞っての販売となっています。現在、「HAOLi-羽織-」の購入は以下の通販サイトから可能です。
ノウト通販係 https://www.nouto.shop/
リターンで届いた着せ替え表紙を、さっそくA5ノートに装着してみました。(写真5)は、株式会社ノウトが発売するノンブルノート「N」に、着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」チロルフラワーを装着したところです。表紙はぴったり収まり、抜け落ちもありません。
A5サイズのノートは、株式会社ノウトが発売するノンブルノート「N」が基本になります。しかし、他社が発売するA5サイズのノートでも、条件が合えば利用できるようです。詳しくは(ムービー2)の検証動画を参照ください。着せ替えの表紙を差し込んだときにスカスカになりフィットしない場合は、紙を重ねて差し込んで表紙を厚く調整するのがポイントのようです。
(写真6)は、ミドリカンパニーのMDノート〈A5〉方眼罫に株式会社ノウトの着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」をセットしたものです。メーカーによりフィット感が異なりますが、表紙の紙厚の調整次第で利用できるようです。
「HAOLi-羽織-」を使ってみたユーザーの声
本コラムで私(生田)と一緒に記事を起こしていてだいているライターの酒井さんは、着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」のヘビーユーザーです。「SNSで表紙が簡単に変えられる「着せ替えノート」を知り、楽しそう!とクラウドファンディングで「HAOLi -羽織-」3種類を購入しました」と酒井さんは語ります(写真7、8)。
「私は数年前から仕事や語学学習などに、各社のA5サイズノート(主に糸綴じタイプ)を数冊同時に使っています。中でもノンブルノート「N」は類まれなるしっとり感、極上の書き心地がお気に入り。このノートにフィットするノートカバーでデザインも個性的、これは思わずポチりたくなるアイテムです。以前からA5ノートには紙やPVC(ポリ塩化ビニル)素材のカバーを着けています。汚れや水濡れ防止、名刺などの小物ポケット代わりに、ノートカバーは便利なアイテム。でもどれもおしゃれなデザインではありませんでした」
膝の上でノートをふたつ折りにしてメモをとっているとき、酒井さんは気付きました。「かつてない、圧倒的な安定感! 二重になったハードカバーの厚みが手とペンをしっかり支えてくれるから、書きやすく字もぶれません。ゆえに、取材や旅先、外で立ったままでメモや聞き書きをするとき、ハードカバーは本当にすばらしい」と実感したそうです(写真9)。
「ノンブルノート「N」は背表紙が製本テープのないコデックス装なので、折り曲げやすさも◎。フィールドワーク用のハードカバーノートといえばコクヨの測量野帳。これも良いのですが、ページをめくることなくたっぷり書ける「HAOLi-羽織-」装着のA5ノートは、取材時には、私の最強のパートナーになりました。バッグの中で荷物にまみれ、よれたり折れたりしないようにノートを守ってくれる、そこも高ポイントです。
ライターの方にとくにおすすめですが、そんなにハードには使わないという方でも、ノートをドレスアップする楽しさを体験できるはず。いつもはカジュアルなスタイルで、打ち合わせにはジャケットを羽織る。そんな感覚で気軽に使えます」と酒井さんは語ります。
蛇腹折りのご朱印帳への展開
着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」の開発のきっかけは、開発者の誠晃印刷 営業部部長 島田徳英さんが、オリジナルのご朱印帳を作りたいと考えたことが発端だったようです。この辺りの経緯を、先の記事から引用します。
「現在の御朱印ブームは、やはり女性のユーザーさんが中心で、男性である島田さんがしっくりくる色や柄がそもそも少ないこと、そして圧倒的に「和風」のデザインが多いのもちょっと不思議でした。
「御朱印帳だからといって和風にこだわる必要はないのではないか?そして男女の別なく使えるデザインは作れないものか?」
幸いなことに島田さんの職場は印刷会社。紙の見本はそれはそれはたくさんありますので、それから御朱印帳を試作する日々が始まりました。」
「HAOLi-羽織-」のおもしろいところは、ノートの中身(本体)をジャバラ状の冊子に変更することで、ご朱印帳が出来上がることです。表紙は差し替えが可能なので、複数のデザイン展開が容易になります。
(写真10)はご朱印帳の本体に着せ替え表紙「HAOLi-羽織-」を合わせたものです。ビビッドな配色のかわいいご朱印帳が出来上がりました。
「HAOLi-羽織-」を使ったご朱印帳の展開はユニークなアイデアであるとともに可能性を感じます。誠晃印刷さんでも、さまざまな展開を考えておられるようです。以下は、誠晃印刷さんのサイトから「HAOLi-羽織-」を紹介したトピック記事からの抜粋です。株式会社誠晃印刷サイト|印刷サービス|差替表紙 -羽織-
「そんなことから始まったオリジナル差し替え表紙『羽織』ですが、これはご朱印帳に限らず活用することで新たなシーンが生まれます。ノートの表紙を気分によって差し替えながら使うこともできますし、表紙を様々なバリエーションを持つグッズとして考えれば、魅力的な商品となります。例えば観光地の絵葉書のように「表紙数種類+ノート本文」をセットで販売すれば、複数の写真を一つの商品を購入するだけで楽しめるうえ、実用品としても使えるのです。絵葉書は厚紙1枚ですが、この表紙は上製本同様、芯に厚紙を入れて貼って作っていますので、格段にしっかりとした仕上がりです。観光地のお土産としてはもちろん、アイドルグッズやキャラクターグッズといったものでも使いやすいでしょう。また、表面に印刷物を貼る以外に、布地や革を張ることも可能です。華やかな和服の端切れで作れば、外国の方々にぴったりの日本土産ができます。
着想した構想をいざ形にしようとすると、抜き差ししやすく簡単に抜けないという、相反する要求が出てきます。差し込みやすくするために微妙に差込口のほうを広く、奥に行くにしたがって狭くなっていたりとか、空気抜きのための穴があいているなど、細かい工夫が随所に入っています。様々な工夫を施し、その独自性をもとに特許を出願させていただきました。」
差し替え表紙「HAOLi-羽織-」を使ったノートやご朱印帳の新しい活用法を思い浮かべると楽しいですね。新しい文房具の世界が広がっていくのではないかと思います。
株式会社ノウトの代表者 髙木芳紀さんは、これまでにもクラウドファンディングを利用して文房具の新製品の開発や告知を行ってきました。プロジェクトには毎回各分野のプロフェッショナルが集い、チームが組まれて進んでいきます。プロジェクトの度に見事なチームが組まれので、毎回驚きとともに感心してしまいます。
クラウドファンディングでは、そうした過程が逐次レポートされ、応援する側も一緒に参加している気持ちになれるところが楽しいです。年内にもいくつかクラウドファンディングが予定されると思いますので、このコラムで伝えていければと思います。
では、次回をお楽しみに。
株式会社誠晃印刷
東京・神楽坂に全ての工場(製版・印刷・加工)を有するオフセット印刷の会社。オフセット印刷機を9台保有、製版・印刷の技術力には定評があり、アパレル、ファッション、写真集など品質の厳しい顧客のニーズに応えている。私たちは、高品質を追求する、オフセット印刷のプロ集団です。印刷立会なども、喜んでお請けしています。
URL:https://www.seiko-printing.com/
所在地:〒162-0813 東京都新宿区東五軒町5-6 株式会社 誠晃印刷 誠晃センタービル(営業部・業務部・経理部)
tel:03-3269-1001(代)
fax:03-3267-9236
株式会社ノウト 代表 高木芳紀
世の中にない新しいノートを創出するノートプランナー。商社勤務の後、渋谷の老舗文具店つばめやに転職、通販部門を中心に担当。2017年に名入れノベルティ事業を継承、株式会社ノウト(ノベルティ研究所)を設立。文具ノベルティグッズの企画販売および文具雑貨のメーカーとして活動中。クラウドファンディングを活用し、各方面とコラボしながら文具を製品化する手法で、クリエイターMozu氏の錯視トリックノート「NOUTO」、万年筆にも相性の良いジャーナルノート、ノンブルノート「N」などを発売。
URL:https://nouto.co/
所在地:〒183-0015 東京都府中市清水が丘3-29-4 糟谷コーポラス201号室 株式会社ノウト
Tel:050-3558-2017
Fax:050-3852-1652
酒井さより
コピーライター。企業・商品・サービスの広告全般の企画・制作、ライティング、社内報の取材編集記事なども手がけています。書籍『暮らしの図鑑 文房具』『暮らしの図鑑 紙もの』(翔泳社刊)では基礎知識と工場見学のページを担当。文具好き。