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三星インキ株式会社
銀インキについて

銀インキ について - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

今回は銀インキについて説明致します。

銀インキはアルミニウムを色材としたインキであり、アルミニウムは金インキで使用されている真鍮よりも加工しやすい(延伸性がある、軽いなど)金属である事から、様々な特長ある印刷効果を再現できる色材として使用されています。また、真鍮に比べて比重が軽い(2~3)金属である事から表面処理剤の効果を発揮させやすく、皮膜表面に配向するタイプ(リーフィングタイプ)と、表面に配向せずに塗膜中に存在するタイプ(ノンリーフィングタイプ)の2タイプの色材を作る事ができます。

リーフィングタイプとノンリーフィングタイプ | 銀インキ について - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

リーフィングタイプは金属顔料が皮膜表面に配向しやすいので金属感が得やすく、高意匠性(メタリック感・輝度感・高隠蔽性)な印刷効果を必要とする場合に使用されます。
それに対して、ノンリーフィングタイプはアルミが皮膜表面に浮かびにくいので金属感を得る事はできませんが、バインダーが有する艶感を得る事ができ、更に皮膜表面に金属顔料が存在しない為に後加工性(ニスや次色インキ上刷り等)・耐摩擦適性が良好となります。

上記2タイプのアルミは印刷方式及び目的に応じて使い分けており、平版印刷ではリーフィングタイプが圧倒的に多く使用されており、その他版式はノンリーフィングタイプが主流であります。

ではなぜ印刷方式による使い分けがされているのでしょうか?
これは基本的には版式によって形成されるインキの膜厚の違いによります。

平版印刷(オフセット印刷)は平滑な版面上で水と油の反発だけで絵柄を再現させている為、インキ量を大きくするとインキを保持する事ができずに絵柄以外の部分も汚れてしまいます。従って、平版印刷の場合はきれいに印刷する場合、版面上ではインキ膜厚が一般的に2~4μmとなります。また平版印刷は版からブランケット、そして原反へと転移していくので、原反には更に少ないインキ量しか転移せず、原反上では1~2μmと薄膜になります。

従って、平版印刷では膜厚が薄くても輝度感・隠蔽性といった高意匠性を得る必要がある為、できるだけ金属顔料を表面に配向させて覆う必要があり、その為にリーフィングタイプのアルミを使用する事が多いです。

それに対して他の印刷方式は、平版印刷より版面上でのインキ膜厚が大きい(凹版印刷:20~30μm、凸版印刷:8~10μm、孔版印刷:30~40μm)ので、皮膜中のアルミ含有量を多くする事ができ、ノンリーフィングタイプでも輝度感・隠蔽性といった意匠性を得る事ができます。

尚、ノンリーフィングタイプのアルミは後加工性・耐摩擦性といった性能を付与させる以外にも、銀インキと色インキを混ぜて色を再現する場合にも使用されます。

リーフィングタイプのアルミは表面に配向する為に輝度感が得られる反面、色インキと混ぜても皮膜表面(色の上)にアルミが存在する事で混ぜた色を邪魔して見えにくくなり、銀インキ特有の金属感(黒味色調)が強調されてしまって濁り気味の色調となってしまいます。
それに対してノンリーフィングタイプのアルミを使用すると表面にアルミが浮かず、金属感が低減して鮮明な色調を得る事ができます。

銀インキはアルミニウムの純金属を色材としているので、合金である真鍮のように金属の混合割合等で色の変化を付ける事ができませんが、粒径や薄さ、金属表面状態、表面処理剤の効果等で、輝度感や色調をある程度変える事ができます。
一般的に粒径が粗くなるほど白味で金属効果が強くなり、細かいほど黒味で艶感・隠蔽性が強くなります。また厚みが薄くなるほど浮きやすくなるので輝度感が高く、表面が平滑になるほど輝度感は高くなります。
そしてリーフィングタイプの方がノンリーフィングタイプよりも金属感が強く出る為に、黒味で高隠蔽性となります。

以上のように、印刷インキに使用されるアルミニウム色材には様々な種類が存在しており、版式や目的(輝度感・後加工適性・安定性等)に応じてインキメーカーが使い分けています。

銀インキも金インキと同様に、インキ盛りを多くできる印刷方式であれば使用できるアルミペーストの選択肢も広がり(特殊品や粗い粒径)、様々な印刷効果を有する印刷物を得る事ができます。

次回は特殊なアルミペーストについて紹介致します。

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