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平和紙業株式会社
レジ袋について考える

プラスチックによる海洋汚染が深刻化する中、既にスーパーやコンビニなど多くの小売店では、レジ袋が有料化されました。
有料化に伴い、マイバッグや、エコバッグなどを持参する方が多くなり、レジ袋を辞退する方が増えてきていると聞いています。

プラスチックによる海洋汚染と同時に、問題となっているのが焼却時の問題です。
レジ袋の大半はポリエチレンから作られています。ポリエチレンは炭素と水素の高分子結合から出来ています。焼却し、完全燃焼させれば、発生するのは水と二酸化炭素で、有毒なガスは発生しません。(写真1)
ポリエチレンの燃焼式は、C2H4 + 3O2 → 2CO2 + 2H2Oです。

(写真1) | レジ袋について考える - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)ポリエチレンは完全燃焼すれば、水と二酸化炭素に分解され、有害物質は排出されませんが、この排出される二酸化炭素が、地球温暖化に影響を与える懸念があります。
※塩素を含むポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンの完全燃焼では、水と二酸化炭素のほか、人体に有害な塩化水素(HCl)も発生します。

また、ポリエチレンは350℃で発火します。ごみ焼却場の燃焼温度は約850℃から900℃ですから、焼却時には、ポリエチレンは完全燃焼されます。

ただし、ここで問題となるのが、二酸化炭素を排出してしまうということです。
二酸化炭素は温室効果ガスとして、地球温暖化の原因ともいわれています。
しかし、紙を燃やしても二酸化炭素は、排出されます。

ポリエチレンを燃やした時に発生する、二酸化炭素と、紙を燃やした時に発生する二酸化炭素は、何が違うのでしょう?

紙の原料は「木」です。「木」は、成長段階で、二酸化炭素を吸収し、体内に炭素を固定化します。紙を燃やす際に排出される二酸化炭素は、この成長過程に吸収・固定化された二酸化炭素とみなされ、新たに二酸化炭素を排出したことにはならないと考えられています。
これは『カーボンニュートラル』という考え方で、この考え方は、世界中に認められています。

ポリエチレンの原料は「石油」です。「石油」は、数千年前に生息したプランクトンなどの生物の死骸が湖底や海底に堆積し化石化した上に、土壌が堆積することで、その圧力や熱などによって、石油に変化したものだと言われています。従って、石油を原料として作られた製品を、化石原料由来ともいいます。
プランクトンなどの生物も、体内に炭素を固定化していたことでしょうから、この石油原料由来のポリエチレンを焼却した際に排出される二酸化炭素は、数千年前に吸収された二酸化炭素が、現代に放出されるということになります。
化石原料由来の製品を焼却することは、数千年前の地球環境に戻ることにも繋がってくるのです。

とは言え、脱プラスチックと言う言葉が、世の中に広まるにつれ、プラスチックが悪者扱いされているような気がしてなりません。
紙業界の人間が、こんなことを言うのも可笑しな話なのかもしれませんが、現代では、プラスチックが無ければ、生活そのものが出来なくなっています。
例えば、普段使っているメガネなど、レンズの大半はプラスチックに移行していますし、フレームも同様です。
免許証も、保険証も、クレジットカードも、キャッシュカードも、全てプラスチックです。服にしてもナイロンや、ポリエステルの繊維が使われていますし、テレビも、冷蔵庫も、洗濯機も、電子レンジも、パソコン、スマホなど、全てどこかにプラスチックが使用されています。

私たちはプラスチックと共存していると言っても過言ではありません。
明日からプラスチック製品を使わないようにしようとしたら、現在の生活をそのまま続けることは不可能ではないでしょうか。

確かに、使う必要のないプラスチックや、その他の素材に切り替えられるプラスチックは使わないようにしたり、他の素材で代用するべきでしょうが、使わなければならないプラスチックは、必要不可欠なものでもあります。

レジ袋に関して言えば、私たちに求められているのは、レジ袋を使わないことではなく、必要かどうかを見極めて使い、使ったレジ袋を、自然界に放置しないことです。
つまり、これは、各人のモラルの問題だと言えるのではないでしょうか。
同時に使い捨てではなく、使い切る努力も求められていると思うのです。

海洋汚染や、地球温暖化など、身の回りの事として想像しにくいことですが、プラスチックでなければならないものは、プラスチックに任せ、プラスチックでなくてもいいものは、例えば紙など別の素材に切り替えることも大切な判断だと思います。(写真2)

(写真2) | レジ袋について考える - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)ユニクロも店頭でのレジ袋を廃止し、紙袋に切り替えました。
プラスチック素材から別の素材に切り替えられるものは、切り替えていく傾向は、今後も続くものと思われます。

(写真1) | レジ袋について考える - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)ポリエチレンは完全燃焼すれば、水と二酸化炭素に分解され、有害物質は排出されませんが、この排出される二酸化炭素が、地球温暖化に影響を与える懸念があります。
※塩素を含むポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンの完全燃焼では、水と二酸化炭素のほか、人体に有害な塩化水素(HCl)も発生します。

(写真2) | レジ袋について考える - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)ユニクロも店頭でのレジ袋を廃止し、紙袋に切り替えました。
プラスチック素材から別の素材に切り替えられるものは、切り替えていく傾向は、今後も続くものと思われます。