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平和紙業株式会社
紙に歴史あり 「新・星物語」

弊社の商品に「新」の字がつく商品が意外と多いのに気づきます。
「新アトモス」、「新・草木染」、「新楮紙」、「新シェルリンN」、「新・清流」、「新バフン紙N」等々、

「新」とする以上、かつてあった商品を新しくリニューアルした感じが漂います。
しかし、そうとばかりは限らないところが、ちょっとややこしい。
「新」をつける理由としては、
これまであった商品を何らかの理由でリニューアルした。
これまであった商品をベースに別ブランドを立ち上げた。
かつて存在した紙を、現代風にアレンジした。等、様々な理由が存在するようです。

そんな「新」のつく紙の中で、今回取り上げるのは、「新・星物語」。
この商品も数奇な運命を辿ってきた商品です。

1997年に「星物語」として誕生したこの紙は、紙面に細かな粉末状の特殊繊維「班」を散らし、あたかも満天の星に囲まれた幻想的なイメージを持つ意匠が特徴の紙です。
色は100㎏が20色、130㎏が7色の合計27アイテムの商品でした。

これまでに無い、見た目の特徴に加え、古紙50%以上、ケナフパルプ20%以上を配合し、エコマークを取得することで、環境にも配慮した商品として、多くの支持をいただくことになりましたし、何といってもその当時では斬新な「星物語」というネーミングもロマンを感じさせる印象的な雰囲気を醸し出していました。

エコマークの基準が改正されると、それに伴い、古紙配合率を70%に増やし、古紙70%、ケナフ20%の環境対応用紙として、時代に乗った動きを見せます。

更に、180㎏の厚みを14色追加し、同時に130㎏を7色から14色に増やし、合計48アイテムの、より一層大きな商品に育ってきました。「星物語」の第2のステージの幕が開いたと思われました。

ところが、順調に思われた「星物語」にも、ある日突然、荒波が襲い掛かります。
2007年この紙を作っていた製紙会社が、他の製紙会社と合併を発表します。これに伴い、これまでこの紙を作ってきた抄紙機も停機となり、新しくできた会社の別工場での生産を余儀なくされました。

新しい工場では、古紙の取り扱いが出来ず、継続するには再生紙というラベルを外さなければならなくなりました。
時を同じくして業界を震撼させた古紙乖離問題も起こり、古紙の配合を中止することとなり、そこで、新たな環境対応を模索し、木を伐採したときに出るおが屑をパルプ化(ソーダストパルプ)し、紙に利用することとしました。

とは言え、同じ処方で紙を作っても、やはり機械が違うと、以前と同じものは出来上がりません。
この時も、同じ処方で紙を作ったものの、どうしても今まで通りの厚みが出ないことが分かりました。

当時の担当者は、以前に比べ若干薄くはなるものの、これまでと同じパルプ使用量で、米坪(※1)を変えずに同じ連量で生産しようと考えていました。
そして、この方向で商品化したいと、各店の本支店長が集まる場で説明をしたのですが、多くの本支店長は、「これまでこの紙を使ってくれている方々がいて、これまで同様に使ってもらうためには厚みを従来と同じにしないと問題が生じる恐れがある」との意見で一致しました。

そこで厚みを出すために、パルプの使用量を増やし、結果これまでの100㎏130kg、180㎏の連量はそれぞれ110㎏、150㎏、180㎏(180㎏は従来通り)となり、商品規格も変更しなければならず、これまでの「星物語」から、「新・星物語」に変更することとなったのです。
そして2008年5月から、新しく「新・星物語」が世に出ることとなりました。

こうした中、2013年には、配合していたソーダストパルプを生産するパルプメーカーが、生産を停止することとなり、紙自体の環境に関する対応は一歩後退することになりました。

とは言え、「新・星物語」は、現在も第一線で活躍してくれています。意匠性、ネーミングなどから、例えば出版などでは、タイトルに「星」等が含まれると、見返しに「新・星物語」が使われるケースが往々にしてあるのも面白いものです。

数奇な運命に振り回されながらも、発売当初からの色数、厚みを維持し続け、懸命に頑張るこの紙を、是非一度手に取ってみてください。新たな発想とパワーが生まれるかもしれません。

■「新・星物語」の商品ページ
http://www.heiwapaper.co.jp/products/details/0201400.html

(※1) 「米坪」1平米当たりのパルプの使用量のこと。
例えば1平米にパルプが100g使われていれば、米坪は100g/㎡となります。
米坪量が増えれば、結果多くパルプを使用することになり、紙の重さに影響を与えます。

(写真1)「星物語」の全20色。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)「星物語」の全20色。この20色は、「新・星物語」にも引き継がれ、現在も同じ色数で活躍しています。

(写真2)「星物語」の販促ツール。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)「星物語」の販促ツール。発売当時は大型商品として、かなり気合の入った販促見本を展開していました。

(写真3)当時の規格。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)当時の規格。 銀刷りで見にくいのですが、古紙50%、ケナフ20%配合で、エコマーク認定商品として発売しました。
連量は、この当時100㎏、と130kgの2連量でした。

(写真4)紙の正面にキラめく斑点が、「星物語」の名前の由来です。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)紙の正面にキラめく斑点が、「星物語」の名前の由来です。

(写真1)「星物語」の全20色。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)「星物語」の全20色。この20色は、「新・星物語」にも引き継がれ、現在も同じ色数で活躍しています。

(写真2)「星物語」の販促ツール。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)「星物語」の販促ツール。発売当時は大型商品として、かなり気合の入った販促見本を展開していました。

(写真3)当時の規格。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)当時の規格。 銀刷りで見にくいのですが、古紙50%、ケナフ20%配合で、エコマーク認定商品として発売しました。
連量は、この当時100㎏、と130kgの2連量でした。

(写真4)紙の正面にキラめく斑点が、「星物語」の名前の由来です。 | 紙に歴史あり 「新・星物語」 - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)紙の正面にキラめく斑点が、「星物語」の名前の由来です。