三星インキ株式会社
NL規制について その2
今回はもう少し『印刷インキに関する自主基準』(通称:NL規制)について、詳細に説明させて頂きます。
『印刷インキに関する自主基準』はNL規制と呼ばれますが、NLとはどういう意味なのだろうと思われる方がいらっしゃると思います。
これは『ネガティブ(Negative)リスト(List)』の頭文字を取って言っており、この反対は『ポジティブ(Positive)リスト(List)』と呼ばれます。
ではネガティブリストとはどのようなものなのでしょうか?
これは、「原則として全てを認可するが、禁止するものだけを一覧表」として規制する方法で、安全衛生上、人体や環境に対して有害なおそれがあると考えられる物質をリストアップし、その使用を禁止する方法です。
そしてポジティブリストとはこの逆で、「原則として全てを禁止し、認可されたものだけを一覧表」として規制方法となります。
もっと簡単に言うと、リストに掲載されている物質を使わずに管理する方法がネガティブリスト制度、リストに掲載されている物質のみで管理する方法をポジティブリスト制度と呼びます。
現在、化学物質は常に次から次へと新しいものが発見されており、仮に非常に画期的な化学物質が発見されたとしても、ポジティブリスト制度の場合は認可されるまで使用できないのに対し、ネガティブリスト制度は使ってはいけないと判断されるまで使用できるという事になります。
印刷インキは様々な用途に各種印刷方式で使用され、多岐にわたる機能が要求されるので、多種多様な化学物質が使用されており、こういった事からネガティブリスト制度を採用して、用途に合った製品を素早く提供できるようにしています。
なお、NL規制対象物質は、国内外の法令及び化学物質の有害性情報等をもとにした基準によって選定され、毎年対象物質の追加・ 削除等の見直しを行っており、2020年5月時点で1,000に近い物質が使用してはいけない物質として指定されています。
https://www.ink-jpima.org/assets/pdf/nlinfo202004.pdf
(NL規制選定基準)
https://www.ink-jpima.org/assets/pdf/nflist_jp2020.pdf
(NL規制対象物質リスト 20200501)
また、NL規制対象物質リストに掲載されていない物質だからといって、その物質が安全であるとは言えません。
なぜなら前述の通り、印刷インキは化学物質の集まりなのです。
その為、NL規制に準じて製造された印刷インキであっても、そのまま口に入れる行為は間違いであり、そのインキを使用して印刷された印刷物も同様の事が言えます。
また直接口に入れなくても、食品と印刷物が直接接触した場合、印刷面のインキが剥落して食品に付着したり、インキ中の成分が食品に移行したりして汚染される場合があります。
その為、食品包材にインキを使用する場合は、『容器包装の外側に印刷を行う』、『インキをフィルムで挟み込んだサンドイッチ構造とする』等の配置を行い、インキと食品が直接接触しないような対応をする事をお願いしております。
従って、今後食品包装に印刷する事をお考えの場合は、上記配置対応について十分検討して下さい。