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平和紙業株式会社
和紙と祭り

さて、先日、久しぶりに青森を訪れました。青森と言えば「ねぶた(ねぷた)」でしょう。
青森駅の近くにある「ねぶたの家 ワ・ラッセ」では、ねぶたの歴史を知ることができると同時に、実際に使用されたねぶたを目の前に見ることができます。

昔は、木と竹で骨組みを作り、和紙を貼り、その中に蝋燭を灯していたそうですが、骨組みに針金を使うようになって、鋭角的な表現も可能となり、細部にまで造形を施すことができ、よりリアルな彫刻的なねぶたへと変化してきたようです。また、内側から照らす灯も、蝋燭から電球となり、最近ではLEDを使うことになったことから、細かな灯の変化をつけることができるようになり、より一層迫力のある表現ができるようになったようです。

そして、骨組みに貼られる紙も、昔は奉書紙を使っていたようですが、雨などによって、紙そのものが痛むことも多かったため、最近では、水に強い特殊な障子紙が、主流となってきたようです。

紙の専門商社でもある、(株)辻和に聞くと、現在では、ねぶた用に特別な和紙が作られているとのことで、水に強いだけではなく、強度を持つと同時に、絵の具の色もなじみやすく、且つ発色の良さも兼ね備えた和紙が作られているとのことです。

ねぶた師の竹浪比呂央氏もインタビューの中で、「ねぶたに使用する紙には、公文書や浮世絵版画にも使用されてきた奉書紙を用いるのが通例でした。私もかつて四国や越前の奉書紙を使っていましたが、今はロール状になった業務用障子紙に切り替えています。奉書紙は、墨のノリや発色も良く、艶があるので申し分ない紙なのですが、残念ながら水に弱い。以前、待機中に数分間のゲリラ豪雨に降られて、奉書紙がドロドロに溶けてしまったことがあったんです。耐久性を考えると変えざるを得ず、奉書紙から障子紙に切り替えました」。と仰っています。

竹浪氏によれば、「ねぶたの伝統で変えてはいけないことが3つあります。内側から光を発することと、ねぶた自体は可動せず躍動感のある表現をすること。そしてもう一つは、紙でできていることです」。この3つの伝統を守りながら、時代の変化を柔軟に受け入れ、時代と共に進化しているのが、「ねぶた」と言うことになります。

さて、あの巨大なねぶた(大型のものは、総重量4tにもなると言います)は、約1年の時間をかけて制作され、毎年8月2日から7日まで、青森市内に登場します。僅か一週間のために、大型のものでは1,000~2,000万円もの費用がかけられます。
祭りの後、あの壮大なねぶたはどうなるのでしょうか。

ひと昔前まで、木と竹と和紙で出来ていた時には、海で紙を洗い流し、木と竹は廃材として燃料にしていたと言います。
しかし、昨今では、針金を使い、水に強い紙を使っているため、燃やすわけにもいかず、大型の産業廃棄物扱いにされてしまうことが多いと言います。

そのため、パーツごとに関係者に配られたり、アップサイクルなどのプロダクツを開発したりしているようですが、なかなか上手くいかないようで、「ワ・ラッセ」の担当者もこの現状に心を痛めているようでした。

時代と共に進化してきたねぶたが、時代の波に翻弄されているのも確かなようです。
紙の文化を繋げていく傍ら、その後の後始末に苦慮する現状。
あまりに儚い現状に、寂しさがにじみます。

とは言え、ねぶたの現物を見ると、その物語性、意匠性、美しさ、迫力など、言葉にできないほどの圧倒的な力を感じることができます。
その力の源にあるのは、紙の持つしなやかさや、優美な曲線美に他なりません。

このコロナ禍で、ねぶた祭りも開催を見合わせてきましたが、今年は全面再開するようです。
是非8月に、青森まで出かけてみませんか。

(写真1) | 和紙と祭り - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)ねぶた
ねぶたの大きさは、高さ5m、幅9m、奥行き7mと定められているようです。
木と針金と紙で出来ていて、総重量は4tにもなる大きな造形物です。
実物を見るとそのスケールの大きさに驚きます。

(写真2) | 和紙と祭り - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)ねぶた内部
ねぶたの内部は、木と針金で形を作っています。そこに電球が取り付けられており、内側を覗くと木組みの構造が良く分かります。

(写真3) | 和紙と祭り - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)パーツ内部
パーツは、木組みを軸に、針金で形を決めています。針金に沿って紙を貼り、彩色を施していきます。細かなパーツは、パーツごとに組み立てられ、本体に繋がれます。

(写真1) | 和紙と祭り - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)ねぶた
ねぶたの大きさは、高さ5m、幅9m、奥行き7mと定められているようです。
木と針金と紙で出来ていて、総重量は4tにもなる大きな造形物です。
実物を見るとそのスケールの大きさに驚きます。

(写真2) | 和紙と祭り - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)ねぶた内部
ねぶたの内部は、木と針金で形を作っています。そこに電球が取り付けられており、内側を覗くと木組みの構造が良く分かります。

(写真3) | 和紙と祭り - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)パーツ内部
パーツは、木組みを軸に、針金で形を決めています。針金に沿って紙を貼り、彩色を施していきます。細かなパーツは、パーツごとに組み立てられ、本体に繋がれます。