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平和紙業株式会社
名刺…って

4月から名古屋支店に異動となり、溜まりに溜まった名刺の整理をしていて、ふと思った。
そもそも何故「名刺」なの?
どの名刺もほとんど同じ大きさなのは何故?
どうしてこの大きさなの?

【何故「名刺」なの?】

名を刺すと書いて「名刺」ですが、そもそも名を刺すってどういうことなのか。
起源をみると、古代中国に遡るようです。
紀元105年。蔡倫(さいりん)が、和亭に紙を献上した記録が残っています。この記録からこの頃、紙の作り方が確立されたと考えられています。
しかし、紙そのものは一般的なものでは無く、文字を書き留めるものとしては、竹を裂いて板状にしたものを紐でつないだ「竹簡」や、木片を板状にしたものを紐でつないだ「木簡」が広く使われていたようです。

相手に要件を伝えたり、来訪を告げたりする際には、こうした竹簡や木簡に名前や要件を書き、戸口に刺しておいたことから、相手に要件を伝える竹簡や木簡の事を「刺」と呼ぶようになり、名前を書いた「刺」のことを、「名刺」と呼ぶようになったと言われています。

三国時代(220~280年)の武将朱然の墓からも竹簡を使ってつくられた「名刺」が発見されており、既にこの頃の中国では、一般的に使われていたことが推察されます。

つまり、自分の名前を書いた札を、刺しておいたことから、「名刺」。
名を刺す意味が、何となく分かったのですが、では、何故、今の名刺はほとんど同じ大きさなのかの答えにはなりません。

【何故この大きさなの?】

中国から始まった名刺の文化は、その後東南アジアや、欧米にも広がっていきます。
ヨーロッパでは、不在の相手に残すメッセージカードが名刺の発端になったと言われています。その後、貴族の間で社交用の名刺の交換が広まっていきます。
日本での名刺は、江戸時代後期頃から武士の間で使われていたようで、訪問先の相手が不在の時など、自分の名と用件を書いたものを渡していたようです。
幕末になると外国人との交流も活発化し、主に外国人との間で名刺のやり取りが始まり、当時は和紙に墨で名前を書いたものでしたが、幕末に西洋の印刷技術が日本に伝わったことをきっかけに手書きから印刷されたものへと変化しました。当時は、名前の上に家紋を印刷した名刺が多かったようです。明治になり、鹿鳴館を中心に西洋諸国との関りが盛んになると、名刺は日本の社交界で重要なツールとして機能するようになりました。

ヨーロッパでは、社交界での名刺の広がりと合わせて、写真の技術の進歩によって、カルテ・ド・ビジット(carte-de-visite)と呼ばれる写真入りの名刺が登場します。
カメラの発明を背景に、肖像画と名刺の大衆化を推進したのがフランスの写真家アンドレ・ディスデリ(Andre Adolphe Eugene Disderi)です。

このアンドレ・ディスデリが、1854年に考案した写真付きの名刺のサイズが82×57㎜でした。
この名刺は日本でも評判となり、このサイズを元に新たな名刺のサイズが考案されることになります。
当時日本はまだ尺貫法の時代ですので、82㎜に近い寸法は3寸で、この長さを元に、最も美しい理想的な寸法として黄金比(1:1.618)を用いて、3寸×1寸8分のサイズが理想とされるようになりました。
尺貫法からメートル法に時代が移ると、3寸×1寸8分は、91㎜×55㎜となり、今の名刺サイズとなります。現在、一般に使用されている名刺のサイズを規格化した人物の1人が、株式会社 山櫻の創業者、市瀬邦一氏だといわれています。

現在では、名刺サイズと言えば、この55×91㎜が一般的となっています。
ただし、名刺のサイズには厳密な規格はないので、大きさに関してはかなり自由度が高いのですが、この一般的な規格より大きくなると、名刺の整理などで不都合もあり、一般的にはこのサイズを最大としているようです。

また、日本ではこの55×91㎜が名刺の大きさとして一般的ですが、海外では、それぞれの国や地域によって、そのサイズに微妙な違いもあり、なかなか奥深いものです。
名刺を整理しながら、コミュニケーションツールとしての名刺の役割を、あらためて見直すこととなりました。
皆さんも一度、名刺の整理をしながら、名刺の役割について、考えてみてはいかがでしょうか。

(写真1) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)竹簡:竹を裂いて板状にしたものを紐でつないだもの。
紙が一般的に使われる前は、こうしたものに記録を残した。

(写真2) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)木簡:木片を板状にしたものを紐でつないだもの。
紙が一般的に使われる前は、こうしたものに記録を残した。

(写真3) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)写真入り名刺:カメラの技術が進み、写真付きの名刺が流行。
こうしたことも背景にあり、名刺のサイズも規格かされていくことになった。

(写真4) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)新しい名刺:私の4月からの名刺です。
今後ともごひいきに。

(写真1) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)竹簡:竹を裂いて板状にしたものを紐でつないだもの。
紙が一般的に使われる前は、こうしたものに記録を残した。

(写真2) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)木簡:木片を板状にしたものを紐でつないだもの。
紙が一般的に使われる前は、こうしたものに記録を残した。

(写真3) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)写真入り名刺:カメラの技術が進み、写真付きの名刺が流行。
こうしたことも背景にあり、名刺のサイズも規格かされていくことになった。

(写真4) | 名刺…って - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)新しい名刺:私の4月からの名刺です。
今後ともごひいきに。