平和紙業株式会社
文庫本④ 文庫本の楽しみ方
文庫本に限ったわけではありませんが、本を読む時、ブックカバーをかけている人を多く見かけます。多くは書店のカバーをかけているようですが、カバーをかける理由は人それぞれで、本の痛みを気にしたり、自分が読んでいる本が何かを周りに見られないためだったり、はたまた・・・。
理由はどうあれ、折角カバーをかけるなら、読んでいる本に合わせたカバーをかけたいものです。
そんな時に役立つのが、包装紙や、手提げ袋など。何となくいつか使うだろうと思いながら気づくと溜め込んでしまっている代物たちです。
包装紙や紙袋に使われる紙の多くは、強度を必要とするため、針葉樹の繊維が多く使われています。松や杉などの針葉樹の繊維は太くて長く、強度のある繊維です。また、ユーカリや桜などの広葉樹の繊維は、細くて短かく、柔らかい繊維です。こうした繊維の特徴を利用して、様々な紙が作られています。(写真1、2)
例えば、ティッシュペーパーなどは柔らかく仕上げるためにも広葉樹の繊維が多く使われていますし、ノートや書籍の本文用紙などは、しなやかさと同時にそれなりの強度が必要ですから、針葉樹と、広葉樹の繊維をベストなバランスで組み合わせて作られています。
包装紙や紙袋などは、破れにくい強さが必要ですから針葉樹が多く使われているというわけです。
よく似たカテゴリーで、ティッシュペーパーとトイレットペーパーがありますが、ティッシュペーパーは広葉樹のパルプが主原料で、水を吸収しても簡単に分解しないように作られていますが、トイレットペーパーは、古紙が主原料で、水を含むと、簡単に分解するよう作られています。
ティッシュペーパーをトイレに流すと、詰まりの原因になるのはこのためです。
これまで何度も書いてきましたが、紙は使われる目的を持って、作られています。
ちなみに、香り付きのトイレットペーパーの香りは、紙では無くて、紙を播いている芯の部分に香りが付けられているって知ってました?
出来上がってしまえば「紙」に違いはありませんが、紙は使われる用途によって、原材料の配合を変え、目的とする用途にベストマッチするよう作られていることを是非ご理解ください。
さて、薄くても強度のある包装紙や手提げ袋は、文庫本のカバーにピッタリです。一つのカバーを使いまわすのもありでしょうが、折角ならシリーズに合わせて、いろいろなバリエーションを楽しんでみるのも興味深いものです。
私の今の愛読書は、再三登場しますが、池波正太郎の「鬼平犯科帳」全24巻。今現在17巻目に入っていますが、17巻それぞれに、和菓子屋さん、洋菓子屋さん、雑貨店などの包装紙や手提げ袋を利用して、その時々の気分でブックカバーを作っています。
1冊読み終わるごとに、次はどんなカバーにしようかと、溜め込んだ包装紙の中からあれこれ悩みながら選ぶ楽しさもありますが、同時に、単に包装紙や手提げ袋を利用するだけではなく、そのデザインを如何に活かしてカバーに仕立てるかが、腕の見せ所です。(写真3、4)
もっとも誰に見せるわけでもなく、個人的な楽しみに過ぎないのですが、本を読む楽しみの一つになっていることは確かです。
皆さんの部屋に眠っている、包装紙や手提げ袋の有効活用のためにも、実際に手で触りながら、紙の質感やデザインなども気にして自分だけの本を飾ってみませんか。