web-magazine
web-magazine

白石奈都子
和紙のリユース

写真1 | 和紙のリユース - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

謂わゆる和紙というと、生成りやオフホワイトの美しい紙というイメージを思い描くのではなかろうか。原料は楮、雁皮、三椏などが主流だ。
貴重な高級品であった紙は、昔から漉き返しと言われる古紙を使用した再生紙も作られたり、再生紙というと、「和紙なのか?」と思うかもしれないが、これも紙の基盤であると思う。

襖の胴張りと言われる下貼りには、反古紙(ほごし)と呼ばれる、古い手紙や大福帳などの薄い楮の古紙を繋げた紙を貼っていた。今で言う再生紙である。100年以上経った古紙は乾湿による紙の伸縮が少なく、また竜脳が添加されている墨には防虫効果もあるので活用されていたようだ。
胴貼り実用かつ効果的な使い方だ。また、反古紙にも色々ランクがあり、再生の度合いにより用途を分けていたそうだ。

だが、昨今ではその反古紙に使える古紙も少なくなり、ある職人は胴張り用の和紙も原料不足だと呟いていた。
和紙をもう一度紙料にして漉く「漉き返し」や「薄墨紙」などとも呼ばれる再生紙も使用していた。今も昔も、手漉き楮紙の再生紙は贅沢品である。
襖自体も少なくなっている現代では、ただでさえあまり破れない襖の張り替え自体も中々見ることもない。木の骨地に薄い反古紙を何層にも重ね貼りして生まれる様は、さぞ美しいだろう。

私も手習いや作品のドローイングの過程で、大量の墨書きした反古紙の素ができる。紙好きの身としては、機械で量産された半紙ですら愛おしく、ましてや手漉きの紙はボツにしたものも何かしらに再生をしている。特に楮の手漉き和紙は薄くても丈夫なので使い道も多い。

写真2 | 和紙のリユース - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

現代では、和紙は通常の資源リサイクルとして利用も難しいようで、量も減っている今日では和紙の漉き返しや反古紙も綺麗な棚に陳列して売られている。

私自身も、和紙と言えば混ざりのない白や生成りのきれいどころを買い求めたくなる。しかし、大好きな和紙だからこそ、反古紙として生まれ変わるために何かできないだろうかと考えるこの頃である。

写真3 | 和紙のリユース - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真1 | 和紙のリユース - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真2 | 和紙のリユース - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真3 | 和紙のリユース - 白石奈都子 | 活版印刷研究所