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白石奈都子
道道の色

写真1 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

陰に心惹かれている。
光を受けた物体が纏う色は、季節によって趣が異なる。

夏の強い日差しから生まれた陰色、冬の凛とした冷気と乾いた空気の中で見る陰色、それぞれの季節で見る陰は、少しずつ異なる。
特に梅雨の頃は、曇天から零れた薄光と、水にたっぷり覆われた空気から生まれた色の出会いは、物憂げな道道の密かな楽しみでもある。
昨今は、この色で表したらどんな色を作るであろう、と思い描きながら歩いている。

写真2 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

所謂、グレーの色と言っても、幾多の色がある。
調色の仕方も、画材により表現も技法も異なるので無限である。
目で見たままの色もそのまま残せたらと願うこともあるが、自分のフィルターを通して生まれる世界もある。
情報が多い世で、どうしても外の出来事に心が奪われてしまうことが多いが、足元を見て歩くのも悪くないな、と思うこの頃である。

陰の色だけを集めたらそれはそれで素敵だな、と想像した。
だがきっと、光の色があるから陰の色が見えるのであろう。逆も然り。

写真3 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真4 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真1 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真2 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真3 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所

写真4 | 道道の色 - 白石奈都子 | 活版印刷研究所