三星インキ株式会社
印刷方式と印刷物について 第3回
前回に引き続き、印刷物と印刷方式について確認していきます。
では、拡大写真(写真1)です。
どうです。前回のグラビア印刷(写真2)とは全く違うのがお分かり頂けると思います。
今回の写真は文字の輪郭がすっきりしていて、非常にシャープになっています。
ただ、若干文字の濃度が薄く、原反である紙がうっすら見えるような感じがします。
では、この印刷物の印刷方式は何でしょうか?
そうです。 これは平版印刷です。
平版印刷は水と油(インキ)が反発しあう性質を用いて画像を形成する印刷方式であり、非常にシャープな輪郭を有する印刷物を得る事ができます。ただ、平版印刷(オフセット印刷)はブランケットに一度インキを転写した後、更に原反に転写するという工程を踏む為にインキの転移量が少なく、グラビア印刷のような濃度感を得る事はできません。
次は平版印刷のベタ部の拡大写真(写真3)です。
グラビア印刷は凹部の深さを変える事で色の濃淡を再現しています(ドットの面積は濃淡でも変わらない)が、平版印刷はドット(網点)の大きさと数によって濃淡を再現しています(厚みは濃淡でも変わらない)。従って、網点を拡大して、様々な大きさの網点が存在する場合も平版印刷で印刷されたものであるとの判断材料になります。
以下の図(図a)は網点の再現性を簡単に模式図したもので、網点が大きくなる程、暗く濃くなります。
尚、現在、オフセット印刷の網点は、規則正しく配列されているのが主流であり、そうする事で印刷時に若干見当がズレても目立ちにくくなるとの事です。この規則正しく並ぶ網点の再現を『AMスクリーン』と呼び、AMラジオの波長はどこまで行っても規則正しい事から付けられたと言われています。ではAMラジオがあるならFMラジオから『FMスクリーン』ってあるの?となります。
答えは・・・あります。
『FMスクリーン』は大きさが一定の網点をランダムに配置し、網点の存在密度を変える事で濃淡を再現する方法で、FMラジオのように決まった範囲でしか集中しないという事から来ているそうです。ただし、この『FMスクリーン』を用いて印刷された印刷物は、拡大して観察しても印刷方式の判断材料にはなりませんね。
その他にも平版印刷で刷られた印刷物の拡大写真をつけておきます。特徴を確認しておいて下さい。(写真4~6)