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三星インキ株式会社
UVインキについて②

>UVインキについて② - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

今回はUVインキについてもう少し詳細な説明をさせて頂きます。

UVインキは前回も記載させて頂いた通り、基本的には溶剤成分を使用していない固形分100%の組成を有しています。
そして紫外線を浴びる事で樹脂成分が瞬間的に重合して架橋するので、非常に短時間で皮膜が形成されます。

ではなぜ瞬間的に皮膜が形成されるのでしょうか?

これを細かく説明すると非常に長くなりますので簡単にスラッと流して説明致します。

UVインキを構成する組成に光反応開始剤と呼ばれる物質を使用していますが、この原料が名前の通り、光(紫外線)が当たる事で結合の弱い部分が開裂(反応を開始)して電子を生成し、生成した電子がインキの中のオリゴマーやモノマーの間を移動する事で樹脂成同士が重合・架橋を起こし、皮膜を形成(硬化)するのです。
この電子が生成して反応が進む現象をラジカル反応と言います。

とても難しいですね。

とても強引な書き方をすると、塊と塊を細いヒモで繋ぎ止めている物質(=光反応開始剤)に、強いチカラ(=紫外線)が加わる事でヒモがちぎれ、その際にヒモの破片(電子)が飛び散り、インキ中を駆け回って樹脂を重合・架橋させる という感じです。(写真1)

(写真1) | UVインキについて② - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)

なお、塊の種類、ヒモの切れやすさ、ヒモの本数、破片の飛び散りやすさ等の違いによって、様々な光反応開始剤が存在し、用途に応じて使い分けされています。

そして、オリゴマーやモノマーに存在する電子をキャッチしやすい部分(=官能基)に、飛び散った電子が接触するとその部分が活性化し、活性した部分同士が重合・架橋を行う事で皮膜が形成されます。(写真2)

(写真2) | UVインキについて② - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)

このオリゴマーやモノマーも光反応開始剤と同等、官能基の数や種類、基本となる骨格の種類などによって色々な製品が存在しており、用途に応じて使い分けされています。
そしてUVインキに溶剤や植物油といった電子を受けても活性化しない成分が配合されていた場合、重合や架橋と言った工程の妨げとなるため、UVインキにはこういった成分を意図して添加する事は殆どありません。
そして、もし活性化しない成分を使用した場合は、硬化の遅延や重合・架橋強度の低下などの現象が発生する懸念があります。

以上のように、非常に大雑把な書き方をさせて頂きましたが、UVインキに紫外線が照射される事で上記のような反応が起こり、皮膜が形成されます。
そしてこの反応は電子の移動による反応であるために瞬間的に反応が進行し、短時間で皮膜が形成される事となります。

どうでしょうか?
何となくお分かり頂けたでしょうか?

このように、一般的な酸化重合乾燥や蒸発・浸透乾燥に比べると、UVインキの乾燥(硬化)は電子の移動という非常に早い化学変化により発生する事から、非常に早くかつ強固な皮膜を得ることができます。

次回ももう少しUVインキについて

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(写真1)

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(写真2)