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アミリョウコ
オアハカと版画

Mayo(5月)

こんにちは、オアハカよりアミリョウコです。2か月ぶりの投稿になります。その間日本に行ったりしていました。3月の終わりから4月の初めの日本は、本当に風景がみるみる変わるので季節が巡る感じを改めて感じました。オアハカは常春の町だと言われているので、基本的にあまり変化がないのです。しかし、4月の中頃に戻ってくるとすっかりと暑くなっていました。日本では7月8月が一番暑い時期ですが、ここオアハカでは3月から5月くらいが1年のうちで一番暑い時期なのです。

太陽の光が強いので陰へ陰へと自然に壁際すれすれを歩いてしまったりしますが、目の前に飛び込んでくる花や空の色(それから家の壁も。)の色には思わず目を奪われます。本当にカラフルで、淡い色の桜を見た後では目の覚めるような色にはっとします。

オアハカと版画 - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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オアハカの道を歩く

オアハカの市内は碁盤の目状になっていて、しかも街の規模もそんなに大きくありません。オアハカ郊外の村を訪れるのも楽しいですが、オアハカにこられた際には街歩きがおすすめです。

オアハカと版画 - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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歩いていると目につくのがストリートアートの数々。直接壁画として描かれたものもありますが、木版画の作品を紙に印刷してそれを壁に貼っているというものも多く見受けられます。その場合は政治的なメッセージ色の強いものが多いのが特徴です。公共の場所での表現方法に版画という手法が使われているのは興味深く、メヒコでは古くからその方法が使われているという歴史があるそうです。版があれば複製が可能であり、イメージによって発信されるメッセージはわかりやすくインパクトもあります。日本を歩いていてもそのようなグラフィティではないタイプのストリートアートを見かけることはあまりないので目を引くと思います。

それらのバックグラウンドを少しお話しすると、オアハカでは2006年に大きな社会蜂起があったのですが、それを機にアートを通じて社会的あるいは経済的な正義を表現するための集団が結成されました。私は2006年にはまだメヒコにはいなかったので詳しくはわからないのですが、友人に聞いた話によると街全体が相当緊迫した状況に陥ったのだそうです。現在オアハカにはいたるところに版画の工房がありますが、そのムーブメントの発端はその2006年に始まったようです。

オアハカと版画 - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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パサポルテグラフィコ

そんな政治的なメッセージを発信するグラフィックアートを見ることもできるオアハカですが、街にある版画工房は現在も増え続けています。現在では政治的な作品をすべての工房やアーティストが作り続けているというわけではなく、それぞれのアーティストがテーマを設けて制作を行っています。オアハカはメヒコの中でも特にインディヘナ(先住民族)文化が色濃く残っている地域で、それを各村で今も行われている祭りなどで見ることができるのですがそういう土地柄の影響か、土のにおいのする作品がとても多いと感じます。

どの工房を見に行っていいかわからないという場合は、パサポルテグラフィコというアートウォークに参加するのがおすすめです。パサポルテはスペイン語でパスポートのことですが、パスポート状になった冊子の中に版画工房の位置が示されたオアハカの地図が入っています。それをもとに工房を訪ね歩けるというというわけです。自分たちで回ることもできますが、月一で各工房が持ち回りで開催しているツアーに参加するのもおすすめです。それぞれの工房でアーティストたちが迎えてくれて、自分たちの活動について話をしてくれます。

小学校や中学校の時にした木版画とは一味違った版画の世界が見られると思います。オアハカを版画という側面から見てみるのも面白いですよ。

オアハカと版画 - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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