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アミリョウコ
Taller Ditoria

Junio(6月)

こんにちは。今年の春は本当に暑かったオアハカですが、今週から本格的に雨が降り始めました。

オアハカでは、雨期の本格的な雨が降り出すと道路に「チカタナ」という名前の大きな羽根ありが現れます。それをかがんで捕まえている人を初めて見た時は驚きましたが、この羽根アリはサルサを作るのに使われるのだそうです。

一年の間でこの時期しか手に入らない、いわゆる旬のもの。ありを食べるなんて~!!と思われるかもしれませんが、関西人が(兵庫県民が?!)春先に「いかなごのくぎ煮」」を心待ちにしている感じと似ていると思いました。今年は、向かいに住んでいる小さな友だちが親戚のおばさんから届けられたという袋いっぱいのチカタナを見せてくれて、雨期の到来を感じたところです。

Taller Ditoria

先日、ぶらぶらと散歩をしていた時のことです。長らく行っていなかった本屋さんに足を運んでみようという気持ちになりました。

メヒコではあまり本を読む習慣はないような気がします。そのためか、本屋さんもあまり見かけないし、あっても結構値が張ります。日本の文庫本のようなものはなく、ペーパーバックが主流です。

その日訪れた本屋さんは、いわゆるベストセラー的なものは置いていない本屋さんで小さな出版社から出版された本や、政治的なテーマを扱った本などを割にたくさん扱っているところです。

そのため装丁が凝っていたり不思議な大きさの本などがあって、真剣に見始めると本の内容よりもまずそのデザイン性の高さに引き付けられてしまうところもあります。

その中に活版印刷らしき印刷の本もありました。表紙だけが活版印刷のものや、活版印刷で版を作ってそれをオフセットで印刷されたもの、あるいは表紙はシルクスクリーンで刷ったものなどこんなにたくさんの印刷技術を使って作られた本がまさかこんなところにたくさんあっただなんて、と片っ端から本を手に取りたい気持ちになりました。

そして色々見た中で「いいなぁ、これ」と思った本の最後のページには必ず”Taller Ditoria(ディトリア工房)”と書いてあるのです。

一つ気になった本が、そのエディションはオフセット印刷なのですが、版は活版印刷で作られたらしく、最後のページに出版の情報として使用した文字の大きさや名前、使った紙の情報などが書かれてありました。そのデザインに心を奪われて、そうなるともう店員さんにその感動を伝えるしかありません。

すると、私が長い時間をかけて店内をうろつき、本を手にとっては棚に戻していた様子を見られていたようで

「あなた、ディトリア工房の本が好きなようね」

と言われてしまいました。そして、「これを見せてあげましょう」とガラスケースの中から何やら出してくれました。

手のひらサイズの小さな本ですが、明らかに他の本と様子が違うのです。何と表現していいのかわからないのですが、なんかこう、本からオーラが出ているというか、息遣いのようなものが聞こえてくるというか、とにかく手渡されれながら妙にどきどきとしてしまいました。

表紙が活版印刷だということにはすぐに気がついたのですが、中をめくると全ページが活版印刷で刷られた本だったのです。

デザインも色使いも素敵でうっとりしてしまいます。そういえば総活版印刷の本を手に取ったのってオアハカではじめてな気がする、と気がついたのです。今まではマエストロキンタスのところで大きなポスターなどを目にする機会が多かったのですが、「本」という形になったのは初めてでした。

ディトリア工房の本:表紙 | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

ディトリア工房の本:ページ | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

ディトリア工房の本:活字 | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

写真では全然伝わらないのですが、印刷の感じが本当に美しかったです。そして、店の人の話だと、全ページ活字を一文字ずつ拾って文字を組んでいるそうなのですが、それにしてもものすごく印刷がきれいなので、よっぽど腕のいい職人さんなのだろうと思いました。小さいのにこんなにも話しかけてくる本に出会ったのは初めてかもしれません。

メヒコシティだかグアダラハラにだかある工房だそうです。次回訪れた時は必ず訪れたいと思いました。

ディトリア工房の本 | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

ディトリア工房の動画はこちらから。
https://vimeo.com/43157556

インテルティポ(インタータイプ)も使っていた(使っている?)のですね。こんなかっこいい仕事をする工房、めちゃくちゃ気になります。
それまでは、この本屋さんに足を運びたいと思います。雨の季節だし、本屋さんで時間を過ごすのもいいものですね。

それでは、アスタルエゴ!

ディトリア工房の本:表紙 | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

ディトリア工房の本:ページ | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

ディトリア工房の本:活字 | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所

ディトリア工房の本 | Taller Ditoria - アミリョウコ | 活版印刷研究所