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アミリョウコ
シルクスクリーンのワークショップ

Enero(1月)

Feliz año nuevo。あけましておめでとうございます。オアハカよりアミリョウコです。もう1月も後半に入りましたが、今年最初のコラムです。

やはりオアハカでは新年よりもクリスマスのほうがお祝いの規模では大きく祝われていましたが、新年も日が変わるころにはあちらこちらで花火や爆竹が打ちあがっていました。

写真1 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

マチのデコレーションは、クリスマスの名残を残しまくったままで新年も迎えます。

写真1 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

「何してるの?」と聞かれたもので。

私は普段自宅(というか、ワンルームなので部屋といった方が正しいかもしれません。)でプリントの作業をしています。小さなプレス機で版画を印刷したり、シルクスクリーンなどです。

換気のために窓やドアを全開にして作業しているので、住人やAirbnbで宿泊している人たちが通った時に「何してるの?」と声をかけてもらうこともしばしば。

クリスマス休みということで、以前私の部屋の上の部分に住んでいた大家さんの家族が久しぶりにオアハカに里帰りしていました。すっかり大きくなった2人の女の子たちが、自分たちのことを覚えているかなぁ、といった様子で何度かあいさつをしに来てくれててうれしいなぁ、懐かしいなぁ、なんて思いながらいつもの通りシルクスクリーンで印刷をしていました。

すると興味深かったのかじいっとこちらを見ています。「こうやってするんだよ」と、刷り上がったTシャツとスクリーン(枠)を見せてあげると、驚きで顔がぱあっと輝きました。反射的に

「印刷したい?」

と聞くと、首を縦に振りました。子供用のサイズのTシャツがなかったので、Tシャツを準備してからにしようと、後日シルクスクリーンを子どもたちとすることになったのです。

シルクスクリーンって?

シルクスクリーンは孔版画の一種です。プリントゴッコと同じ仕組みだといえばわかる人も多いかもしれません。

写真2 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

メッシュ(スクリーン)という網目になった布の上にデザインを描いたり写真製版したりして版を作ります。出来上がった版には網目が残った部分と、網目がブロックされた部分ができます。網目が残ったところはインクが通過できるのでそのデザインの通りに印刷できるという仕組みです。

活版印刷や木版画などは版にインクを載せて印刷するので仕上がりの絵のイメージは反転しますが、シルクスクリーンではデザインしたとおりに印刷できるのでその心配はありません。いわゆる活版印刷(レタープレス印刷)とは方法が異なりますが、シルクスクリーンも版を使って同じイメージをたくさん刷ることができる印刷方法の一つです。

写真2 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

こどもたちがやってきた。

約束していた日に子どもたちがやってきました。一番簡単なのは、私が持っているスクリーンのデザインをTシャツに刷ることですが、念のため聞いてみました。

「もうあるデザインから選ぶか、自分で絵も描きたい?」

子どもたちの答えはもちろん後者。ということで、彼女たちも時間はあるようなのでデザインから印刷という工程を全部体験してもらうことにしました。

製版の方法には、写真製版を使うことにしました。感光剤と乳剤を混ぜた液をメッシュに塗って、それを太陽の光にあてて感光させるという方法です。

写真3 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

まずは、紙にアイディアを考えます。どんなイメージにしようかなぁ、と最初の一筆目こそなかなか出ませんでしたが描き始めるとアイディアがどんどんとわいてきて、最終的にはドットのデザインを足したり自分の名前を入れたり素敵なものができました。

感光するには、太陽の光が十分になかったり室内で作業する場合は感光させるための箱もあるのですが、せっかく強いメヒコの太陽があるのでそれを使いました。晴れの日ではたった24秒日の光にあてるだけなので、子どもたちには24秒を数えてもらいました。

その後、水で洗います。黒い線で描いたところは感光剤と乳剤が落ちて、網目がブロックされていない状態になります。水を少し当てただけで自分の描いた絵が浮かび上がってくる様子を見て、

「わーー!!魔法みたい!!」

と目を丸くしていたのが印象的でした。

写真3 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

いざ印刷!

写真4 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

出来上がった版を乾かしたりテープをはったりして、いよいよ印刷です。まずは紙に、そしてぼろ布に練習をします。いろいろな工程を経ながら、「どうしてこうするの?」という質問をたくさん受けました。その一方で、「インクの色はどうする?」と聞くと、

「わたしは青!」
「わたしは灰色!」

と即答。Tシャツの色も自分たちで選んだのですが、その選ぶ速さにはびっくりしました。(そして、センスもいい!!)

自分がさっき描いた絵と同じ絵が印刷されたのを見ると、思わず歓声が上がりました。早くTシャツにも印刷したい!!というはやる気持ちを抑えて、一歩一歩進みます。

写真5 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

刷り上がって、インクを乾かしたらすぐに着替えてちょうど帰ってきたお母さんに見せていました。その次の日も自分たちで印刷したTシャツを着ていて、出かける前に私の部屋によって

「今日もこれ着ていくねん!」

と見せてくれたのがとてもうれしかったです。

何気なくの「やってみたい?」の一言から始まったこのTシャツを刷ろう大作戦。自分で工程を経てつくったり、ものをつくる工程を実際に体験しながらつくるというのは単純に楽しいことだと思いました。

活版印刷にしろ、シルクスクリーン印刷にしろあらゆる印刷技術は、印刷するまでの工程が大変です。たくさんの辛抱強さが必要ですがそこから得られるよろこびやその工程での学びはデジタル印刷では味わえないものだなと、新年早々改めて印刷の面白さを子供たちを通して感じました。

写真4 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所

写真5 | シルクスクリーンのワークショップ - アミリョウコ | 活版印刷研究所