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アミリョウコ
オアハカの活版印刷事情

オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

Septiembre(9月)

こんにちは、アミリョウコです。オアハカの街の様子について前回は書いたので、オアハカがどこにあるのかということを紹介できてよかったなと思っていた矢先、先日大きな地震がありオアハカの名前が大々的に日本に届くことになってしまいました。

チアパス州というオアハカの隣の州の沿岸で起こった地震でマグニチュードは8.2を記録した100年に1度と言われる規模の大きな地震でした。私の暮らすオアハカ市では深刻な被害は特になく普段通りの生活をすることができていますが、沿岸部にあるフチタンというエリアでは建物が倒壊したり深刻な被害を受けています。一日も早い復興を願うばかりです。

9月は”Mes de la patria(母国月間)”ということで盛り上がる1か月です。9月16日は独立記念日があるのですが、メヒコでは国をあげて盛大にお祝いされます。日本には独立記念日はないので、独特のお祝いだと感じますが自分たちの国を誇りに思って町中がメヒコカラー(白、緑、赤)であふれてメヒコの人々の愛国心と誇りを感じます。それと同時に街のいたるところに「独立記念日お祝いグッズ」を売る屋台が乱立して独立記念日が終わるや否や一気にいなくなるので、いったいどこからやってきてどこへ消えるのか、本当に不思議です。

独立記念日お祝いグッズ | オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

独立記念日お祝いグッズ | オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

独立記念日お祝いグッズ | オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

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メヒコの活版印刷事情

オアハカに戻ってきてからまず活版印刷所があるのかどうかを知るために友だちに聞いてみました。すると、キンタスという活版印刷のマエストロ(先生、職人)がいると教えてもらったので訪ねてみました。

教えられてたどり着いたのは一見普通の街の印刷屋さんでした。別に印刷の仕事を頼むでもないくせに突然現れた外国人の私を最初は「なんか変な奴が来たな」という感じで怪しまれていたと思うのですがどうしてやって来たのかとか、メヒコの活版印刷に興味がある旨を伝えると、中に招き入れてくれることになったのです。

キンタスの活版印刷機 | オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

活版印刷の機械が3台ありました。日本でも見たことのあったハイデルベルク社のものと、それよりも大きくて古いアメリカ製の機械、そして足踏みで印刷できる小ぶりなものでした。おおお!!!すごい!!あるんじゃないか、活版印刷!!とテンションが上がったのもつかの間、

「活版印刷に知りたいって言っても、もう活版の仕事はほとんどないよ」

と言われてしまいました。

オアハカでもやはりデジタル印刷の台頭はすさまじいとのこと。早くて大量にしかも安くできるというデジタル印刷には、時間がかかる上に安価ではないという活版印刷はもうほとんど需要がないとのことでした。特に地元の人の活版印刷離れが進んでいて、仕事の大半は国内外のアーティストの作品やポスターの依頼だということでした。

メヒコの印刷屋さんは大体が、「オフセット、印鑑、シルクスクリーン」の3本柱でやっているところが多いです。そこにデジタル印刷、3D印刷などに力を入れているところもあれば、刺繍もできるところがあったりします。(要するにノベルティグッズを作れる店、というイメージかもしれません。)

メヒコでは小さな商店が多く、それぞれの店で領収書などを持っていたりするのでオフセットの需要は高いそうで、ハイデルベルクの機械は主に番号をふるために使われているとのことでした。街の印刷屋さんをじろじろと見ているとこの機会は結構置いてあるところが多いのですが、どうやらその目的で使われている場合がほとんどみたいです。

先にも書きましたがメヒコ全体で見ても活版印刷ははっきり言ってしまうと廃れているのだそうです。オアハカで活字を拾って活版印刷をしているのも、もはやここしかないのだとか。

キンタスの活版印刷機 | オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

どんなものを印刷しているのか?

「ぜひとも活版印刷を教えてほしい」と頼んでみたところ、「見に来てもいいけど、本当にほとんどないよ、活版の仕事」と言ってもらえて工房に通う日々なのですが、毎日通っているといろいろな仕事がやってきます。日本の活版印刷所でも様々なものを印刷されていると思うのですが、メヒコっぽいと感じたものを紹介します。

10センチくらいの白いリボンに入れたい文字を指定されて、それを印刷するのです。これは、「コロナ」というお祝いやお葬式の時に送る花(開店祝いなどで見るような花です)に飾るためのものなのだそうです。名前や団体名を入れるようですが、このときは木の活字を組みます。印刷は細長い台の上で手動で行われます。専用の機械なのかと思っていると、かつては新聞を印刷していたのでその時に機械で刷る前にスペルミスがないか試し刷りをするのに使われていたそうです。重たいローラーをゴロゴロとして印刷していきます。

オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

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もう一つ、日本ではなさそうと思ったのが「法事の案内状」です。メヒコはカトリック大国なのすが、最近では教会に行く習慣がないという人たちもいますが、ミサに毎週通っているという人もかなり多いです。ある日聖母や聖人が印刷されたカードを見に来た人がいて、何やら相談をしていました。後で何のことか聞いてみると、家族の1周忌のためのミサの案内状の印刷の依頼でした。ミサの日時などのお知らせとともに、個人に向けた祈りの言葉を欠くスペースがあったのが印象深かったです。日本では宗派によってお経があるので法事などではお経があげられますが、カトリックでは「祈る」という行為が強いのだなと感じさせられました。

オアハカの活版印刷事情 - アミリョウコ

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おわりに

日本の活版印刷所に舞い込んでくる仕事がどんなものかわからないのですが、オアハカの活版印刷所の様子をお伝えしましたがいかがだったでしょうか。

私が足を運んだこのキンタスという活版印刷所なのですが、通っているうちにどうやらものすごいところにたどり着いたのかもしれない、と鼻の穴が大きくなってばかりの興奮の毎日です。来月はこの印刷所のことを紹介したいと思います。

Hasta la próxima!(それではまた!)