(株)和光
活(い)きた版 「一段止め箔版 その2」
前回は、梨地(なしじ)一段止め箔版のデータ作成までお届けしました。
梨地文字デザイン(写真1)の中を梨地柄に箔押しをしながら浮出しをかける狙いです。
今回はその続きです。データ作成の次はネガフィルムを出力します。オフセット印刷では、もう使用されていないのですが、凸版の製版では、ネガフィルムはまだまだ現役です。CTP樹脂版やプリンターでネガフィルムの代替を狙ったものはありますが、弊社では殆どをネガフィルムから製版しています。(写真2)
今回は、通常エッチングと一段止めエッチングを比較し易くするために上下に並べて製版します。上下のデータ、及びネガは同じものです。エッチング工程中に一段止め加工を施します。
製版が完了しました。版の状態だと通常エッチングと一段止めエッチングとでは、どのように違うのでしょうか?拡大画像をご覧いただきましょう。(写真3、4)
いかがでしょうか?通常エッチングでは深くエッチングされているのに対し、一段止めの方はエッチング深度が浅いのが分かります。エッチングが浅い所も箔が転写され、版の頂点部分との段差で浮出しが表現されます。
早速箔押しをしてみましょう!プラットフォームの発熱ユニットに版をセットします。(写真5)
箔をのせて、レタープレスコンボキットでクルクルします。もう慣れた工程なので、順調に進行します。(写真6、7)
この瞬間は、やはり緊張します。まずは、どうなるでしょうか?
綺麗に箔が転写されましたが、圧力が低かったので、一段部分の箔が転写されませんでした。(写真8、9)
一段部分の箔も転写されるように圧力の調整が必要になります。
圧力調整を行っていきましたが、これが結構大変な作業でした。最初は通常の圧力調整方法である印刷紙の下に紙を数枚挟んで調整していましたが、上手く行きませんでした。そこで、贅沢ですが、下版を樹脂版で作成し、薄い紙で微調整しました。(写真10)
通常の箔押し部分はベタで、一段止め部分は文字部分のみの樹脂版を作成し、紙の下からの圧力を集中します。あとの微調整は、樹脂版とベースの間に紙を挟んで調整しました。
100%完璧とまではいきませんでしたが、お見せできるレベルの物が完成しました。(写真11)
拡大してみましょう!(写真12)
いかがでしょう?通常この作業をするには、箔押し→浮出しと2工程が必要になりますし、箔と浮出しの版見当が大変です。
しかし、印刷のオペレーターの方々は、日々この様な案件と真摯に向き合っておられると思うと、足を向けて寝られません。尊敬いたします。
最後に、本年はご閲覧、まことにありがとうございました。また来年もよろしくお願い致します。