web-magazine
web-magazine

三星インキ株式会社
印刷に関連するマークについて
– インキグリーンマーク –

続いてご紹介するのは、以前紹介した『ベジタブルインキマーク』制度よりも、更に印刷インキの環境負荷低減を一層促進させた『インキグリーンマーク』制度であります。
この制度は印刷インキ工業連合会が平成27年(2015年)9月より運用を開始し、環境への影響が少ない原料をインキ中にどれだけ用いているかを基準とし、その割合によって環境配慮の度合いを3つにランクに振り分けています。

インキグリーンマーク - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

なお、このマークは『ⅰ』を人に、『 g 』を緑に見立てて人と緑の融合を訴求したマークであり、環境に配慮し、自然と寄り添って生きる事を目的としたインキである事を印象づけています。

では、『ベジタブルインキマーク』制度とどこが異なるのでしょうか?

もう一度『ベジタブルインキマーク』制度について簡単に説明しますと、インキ中の鉱油と呼ばれる石油系溶剤を規定量以上、植物油に置換えた製品に適用されます。
でも、印刷インキに使用している原材料は石油系溶剤だけではありません。
樹脂や補助剤といった原料を使用して構成しています。
従って、単純に石油系溶剤を植物油に置換えるのではなく、その他の原料も環境への悪影響が少ない原料に変える事を推し進め、より一層環境負荷軽減を促進させたインキを設計する事を目的に考えられた制度であります。
この環境への影響が少ない原料として生物由来の成分が挙げられ、一般的にバイオマス成分と呼ばれています。

この『インキグリーンマーク』制度で規定している内容は以下の通りです。

■バイオマス:再生可能な生物由来の有機性原材料(化石資源を除く)

■バイオマス割合:インキ中に含まれる生物由来の原材料割合(%)

■バイオマス換算方法

①動植物油 換算方法
②ロジン 100%をバイオマスとする
③植物由来のアルコール 100%をバイオマスとする
④脂肪酸エステル 100%をバイオマスとする
⑤脂肪酸アクリレート 生物由来成分%をバイオマスとする
⑥アルキッド樹脂 生物由来成分%をバイオマスとする
⑦ロジン変性フェノール樹脂 生物由来成分%をバイオマスとする
⑧その他生物由来の原料 生物由来成分%をバイオマスとする

■認定基準:別紙認定基準表を参照のこと。
https://www.ink-jpima.org/assets/pdf/igmark02.pdf

現在、この『インキグリーンマーク』制度は、オフセットインキ(油性・UV)、フレキソインキ、デジタル印刷機用孔版インクに対して適用されます。
そして環境への影響を考慮している製品であるほど☆の数を多く表示する事ができ、☆3つが当制度で最も環境に配慮した製品であるという事になっています。

この制度は『ベジタブルインキマーク』と異なり、現時点ではインキ製品にしかマーク表示ができませんが、今後は印刷物への表示も可能となるように検討を行っています。

その他に、環境省が制定している『国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律』、いわゆる『グリーン購入法』に適合した印刷物を得る為には、印刷時に『バイオマスを含有したインキ』を使用する事が求められていますが、これは『インキグリーンマーク』の☆1つの基準と同じであります。

また、よく混同されるのが、日本有機資源協会が制定している『バイオマスマーク』と呼ばれる制度で、この制度も製品中の生物由来資源(バイオマス)を有効活用する事で、温室効果ガスである二酸化炭素の発生量を抑制することを目的とされています。
『インキグリーンマーク』制度もバイオマス成分を選定基準としており、内容的に類似しておりますが、『インキグリーンマーク』と『バイオマスマーク』は同じものではなく、どちらかの条件をクリアしていても貼付しあえる事はできませんので、その点はご注意ください。

インキグリーンマーク - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所