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三星インキ株式会社
UVインキの乳化現象について

UVインキの乳化現象について - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

今回もUVインキを使用する際の難しさについて

UVインキをオフセット印刷で印刷されるとき、水上げ量のバランスが一般油性インキに比べると難しいということを耳にします。

なぜUVインキは水上げ量が難しいのでしょうか?

これはオフセット印刷の仕組みに関連します。

オフセット印刷は油と水(インキと湿し水)の反発で絵柄を再現して印刷するというシステムであります。ただ、完全に反発してしまう(水と油が全く混じり合わない)と、少しバランスが崩れるだけで全く印刷できない状態になってしまいます。
そこでバランスを取りやすくするために、一定量の水がインキと混じり合う、いわゆる『乳化』という現象を起こし、水の量が多少増減しても水と油の反発力を一定に保つという方法が取られています。つまり、湿し水を使用した印刷においては、インキと湿し水が『乳化』しないと印刷は難しいものとなります。

しかし、一般的に考えると水と油は混ざりませんよね。
この混ざりにくさを改善するものとして『H液』などと呼ばれる添加剤があります。
『H液』の中には多くの成分が含まれていますが、基本的には水の表面張力を下げることや親油性を持たせることで、油成分である印刷インキと湿し水が混ざりやすくなるようにしています。
以前も書きましたが、乳化というワードで多くヒットするのが「マヨネーズ」であります。
マヨネーズの原材料は油・お酢・卵となり、本来は油とお酢(水)は混じることはありませんが、卵が乳化剤として働くことで分離しない状態が保たれます。
これを印刷に例えると、印刷インキ(油)と水(お酢)を乳化させるためにH液(卵)を使用するという感じになります。

そして、一般油性インキには植物油という油成分を使用していますので、上記乳化現象が引き起こされますが、UVインキは油成分を使用していない(あるいは少ない)ために乳化現象が起こりにくいという事がお分かりいただけるでしょうか。

また、インキ中に湿し水が混ざれば良いという事でもなく、逆に多くの水が混じり合う(乳化が進み過ぎる)と反発力の低下やインキ調子の軟調化が起こり、汚れや転移不良などが起こります。
UVインキは一般油性インキに比べると流動性が小さいことから、版やブランケットからインキが原反などへ転移しにくい(消費されにくい)ために水と接触する時間が長くなります。
また消費されにくいという事は、インキ壺からの新しいインキが供給されにくいという事なので、同じインキが絶えず湿し水と接触している環境となり、過剰に水と混ざり合う現象(過乳化現象と呼ばれます)になりやすい傾向にあります。

このようにUVインキは一般油性インキに比べると適正な乳化状態とすること(湿し水量のコントロール)が難しく、印刷しにくいと言われる所以であります。

なお、一度乳化してしまったインキの中の水分は完全に抜けることはありません(マヨネーズを長時間放置しておいても卵と油に戻ることはないように)。
ですので、ロングランや絵柄が少ない印刷、抜き部の多い印刷などの水上げ量がやや多くなる印刷を行った際は、インキングローラーを伝って湿し水が登ってくることが懸念されますので、インキ壺上のインキを戻して再利用するということは、一般油性インキ、UVインキ関係なく未使用のインキと比べると品質低下は生じますので、この点はご理解願います。

(写真1) | UVインキの乳化現象について - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2) | UVインキの乳化現象について - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

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