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平和紙業株式会社
閑話休題 ―書籍の行方―

出版界における紙書籍と電子書籍について、2022年の出版市場規模が発表されました。

2022年おける出版の中で、紙媒体(紙書籍+紙雑誌)は、前年同様、前年比で減少し、電子媒体(電子コミック+電子書籍+電子雑誌)は、前年比微増という結果となっています。

紙の書籍は6,497億円で、前年比95.5%、紙の雑誌(コミック含む)は4,795憶円で、前年比90.9%。合計で1兆1,292憶円となり、前年比93.5%でした。
一方、電子コミックは4,479憶円で、前年比108.9%、電子書籍は446億円で前年比99.3%、電子雑誌は、88億円で前年比88.9%。合計5,013億円で、前年比107.5%でした。

紙媒体と電子媒体の合計では、1兆6,305億円となり、前年比97.4%となっています。

紙媒体と電子媒体を合算した出版市場は、電子媒体の好調を受け、過去3年間は増加傾向にありましたが、4年ぶりのマイナス成長となりました。

2022年はこれまで前年比で20%前後の成長を続けてきた電子媒体にブレーキがかかり、電子媒体市場もいよいよ成熟期に差し掛かったとの見方もあります。
特にコロナ禍による巣ごもり需要が終息し、更に物価高による買い控えも響いたとの見方が有力です。
また、電子コミックでの鬼滅や、呪術などのメガヒットも無く、電子媒体に関しては、2022年の数字が、現状の状態を正確に反映していると考えられています。コロナ特需で増加したユーザー数の伸びは落ち着き、市場は成熟期に入ったように感じられます。

2011年の電子媒体の市場は約660憶でしたが、わずか10年ほどで、約5,000憶の市場へと拡大し、約760%の成長となっています。
一方、紙の書籍は、2011年に約8,000憶あった市場が、2022年には6,500憶へと縮小し、約20%市場規模が縮小しています。
更に紙の雑誌に関しては、2011年に約9,800憶あった市場が、2022年には、4,800憶へと縮小し、50%以上も市場規模が縮小していることになります。

特に2022年の数字で特筆されることは、電子媒体の市場規模が、紙の雑誌の市場規模を抜いたということでしょう。
2021年では、電子媒体の市場規模は、4,662憶円、紙の雑誌5,276憶円と、若干紙の雑誌の方が勝っていましたが、2022年では、電子媒体の市場規模が、5,013憶円となり、紙の雑誌の4,795憶円を上回ることになりました。

最近のニュースでも取り上げられていますが、「週刊朝日」も今年の5月で休刊となります。最盛期の1958年には150万部を超える発行部数を誇った、老舗中の老舗の週刊誌も、最近では約7万部にまで落ち込み、ついに休刊に追い込まれました。

もはや雑誌の減少は歯止めが効かない状況となり、ますます雑誌不遇の時代が加速していくものと思われます。

週刊文春、週刊新潮が、電車の中吊り広告から無くなって久しく、もはや記事は紙ではなく、ネットで見るもの、読むものに変化してしまったようです。

電子媒体の進捗率が鈍化したとはいえ、電子媒体への移行が進んでいることに変わりはありません。

情報伝達という役目を、印刷媒体は、電子媒体へと譲り渡す時期が近づきつつあり、いずれ電子媒体が出版市場の中核になることは間違いないことだと思います。

先日、第168回の芥川賞、直木賞の受賞者が発表されました。
かつては、受賞作品は、出版部数も多く、紙業界も期待したものでしたが、昨今では、初版、重版部数もさほど多いものでは無くなってきました。

紙の書籍を読もうが、電子書籍を読もうが、内容は同じです。
紙の書籍を読む時の、本の重みとか、ページをめくる感覚とか、手触りとか、もはや紙の書籍には、人の感覚に頼らなければいけない時代になってきたのかもしれません。

紙の書籍と言う文化が今後も継続するのか、紙を捨て、電子媒体の書籍に移行していくのか、その行く末を真剣に考える時代になってきたようです。
以前にも書きましたが、「その昔、紙の書籍があった」と言われる日が来るかもしれないと、本気で思うようになった今日この頃です。

(写真1) | 閑話休題 ―書籍の行方― - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)週刊朝日も今年5月で休刊となりました。雑誌の発行部数も減少し、雑誌そのものの存在価値が問われるようになってきました。
電車の中でも、紙での雑誌や、新聞を読む姿は、最近では少なくなってきました。

(写真2) | 閑話休題 ―書籍の行方― - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)書籍の推定売上は、電子媒体に引っ張られてきています。
紙媒体は、年々減少の傾向にあり、これまでの進捗率をもとにシミュレーションすると、2028年には、電子媒体と紙媒体が均衡することになります。

(写真3) | 閑話休題 ―書籍の行方― - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)グラフ化すると、電子媒体の進捗が良く分かります。
当然、上げ止まりや、下げ止まりは生じると思いますが、これまでの進捗率をもとに考えると、いずれ書籍の大半は電子媒体に移行する可能性が高いと思われます。

(写真1) | 閑話休題 ―書籍の行方― - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)週刊朝日も今年5月で休刊となりました。雑誌の発行部数も減少し、雑誌そのものの存在価値が問われるようになってきました。
電車の中でも、紙での雑誌や、新聞を読む姿は、最近では少なくなってきました。

(写真2) | 閑話休題 ―書籍の行方― - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)書籍の推定売上は、電子媒体に引っ張られてきています。
紙媒体は、年々減少の傾向にあり、これまでの進捗率をもとにシミュレーションすると、2028年には、電子媒体と紙媒体が均衡することになります。

(写真3) | 閑話休題 ―書籍の行方― - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)グラフ化すると、電子媒体の進捗が良く分かります。
当然、上げ止まりや、下げ止まりは生じると思いますが、これまでの進捗率をもとに考えると、いずれ書籍の大半は電子媒体に移行する可能性が高いと思われます。