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平和紙業株式会社
環境と紙(その5)

このコラムが掲載される頃でも、まだまだ新型コロナウィルスの状況は、終息の兆しが見えないのではないでしょうか?

今回あらためて考えさせられたのが、デマとか風評の恐ろしさです。
トイレットペーパーが店頭から消える事態になったのは、この典型的な例。やれマスクを増産するためにトイレットペーパーの生産が止まるだの、やれトイレットペーパーの原料は中国からの輸入が大半なので生産できなくなるだのといった言葉が、買い占め、買いだめに走らせることになってしまいました。

今回のトイレットペーパーの件では、政府がデマ情報であることを明確に発表したにも関わらず、店頭に並ぶ間もなく買い求める方が多くいたようで、沈静化まで結構な時間を費やしています。

今回の事態を紙の関係者の目から見ると、こんな感じなのかなぁと思います。
それは、一般の人にとっては、「紙」のようなものは、全て「紙」だという認識ではないかということ。つまりマスクでもトイレットペーパーでも新聞紙でも書籍でも、「紙」は「紙」という認識で、それぞれどんな原料で、どのように作られているかは、一般の方々にとって知る由もなく、みんな同じだと思っていること。
次に「紙」でできたものは、そんなに高価ではなく、少々買い貯めてもあまり大きな出費にはならないこと。また日用品であればいずれは使うという思いがあることです。

「紙」は私たちの周りに当たり前のように存在し、水や空気のような存在になっているのではないでしょうか。
世の中にある「紙」は、そのすべてが必然性をもって作られています。
例えばトイレットペーパーは、何度も繰り返して使うものではなく、一過性の使用です。
同時に水に流れやすくするために、繊維間の強度を低くしなければなりません。
ですから、原料には古紙が使われるのが一般的ですし、繊維間強度を低くして作られます。

同じようなカテゴリーにティッシュペーパーがあります。ティッシュペーパーはトイレットペーパーとは違い、吸水性に優れ、強度があり、繰り返し使うことも可能です。
そのために古紙ではなく、広葉樹の繊維を多く使うことで、しなやかで、保水性・吸水性を持たせて作られます。ですから、ティッシュペーパーをトイレに流すと、配管の詰まりを引き起こす原因ともなるのです。

このようにその目的に合わせて「紙」は作られています。当たり前のように身の周りにあるということは、必然性をもって作られているからだと言ってもいいのではないでしょうか。

更には、信じてしまいたくなるような表現をされると、そうかもしれないと思ってしまうことでしょう。分かり易い言葉や表現が、真実だと思い込んでしまうようです。

最近「石から出来た紙」と言うのをよく聞きます。木も水も使わず、世界中に無尽蔵にある石灰石をを使って作られたもので、燃やしても二酸化炭素の発生量は少なく、リサイクルもできると言われています。
木も水もない場所でも生産が出来て、原料も無尽蔵にあると聞けば、こんな素晴らしいものはないと思います。

でも、実際には石灰石だけではなく、ポリプロピレン(PP)という樹脂を使って、石灰石を固定化しているもので、使われている樹脂の量が一般のプラスチックより少ないとはいえ、石灰石にしろ樹脂にしろ焼却したら二酸化炭素が発生します。木材のようにカーボン・ニュートラルというわけでもありませんし、燃やせば灰分が非常に多く出てきます。

また、リサイクルしようとして、紙と同じように扱うと、紙の再生工程において、影響が出てきます。紙製品に混じってしまったり、異物がクリーナーなどのスクリーンや配管を詰まらせたりする恐れがあります。
先ほど書いた通り、一般の人にとっては、紙のようなものはすべて紙なのです。
きっと分別なんてできないでしょう。

紙に使われる木材≒木は、成長時に二酸化炭素を多く吸収し、体内に固定化します。木を使う→木を植える→木を育てる→木を使うといったサイクルの中に「紙」があります。
その点、石灰石を原料にしているものは、二酸化炭素を吸収するサイクルはありません。
何が本当に環境にいいのかどうか、きちんと理解する必要があると思います。

SNSなどで、あっという間に情報が拡散する時代です。その情報が真実かどうかを見分ける力も必要になってきています。
分かり易い言葉や表現が果たして本当の事かどうかを、見極めなければならないということを、今回の騒動で改めて考えさせられました。

欠品 | 環境と紙(その5) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

いつまでたっても、トイレットペーパーの棚に貼られたままの「ご案内」
製紙メーカーには十分な在庫があるのに、一気に買い求められたために、物流が追い付かなかったり、入荷と同時に買い求められてしまったりしています。
みなさん、もう少し冷静になりましょう。

丸富製紙 | 環境と紙(その5) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

丸富製紙㈱のツィッターでは、こんなに在庫があることをお知らせいただいております。
トイレットペーパーを生産している製紙メーカーには、十分な在庫と、生産体制がありますので、少しでも早く店頭に在庫が並ぶためにも、焦る気持ちは分かりますが、ほんの少し自重していただけませんでしょうか。

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