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平和紙業株式会社
年明けの妄想(「神」と「紙」)

2026年となり、既に2週間以上が経ち、すっかり正月気分も抜けきったことかと思います。
初詣に神社仏閣にお出向きの方も多かったことでしょう。
私は、神社でしめ縄を見るたびに、些細な妄想に取りつかれます。

「かみ」を漢字で表記すると、「上」「髪」「守」「神」「紙」などがあります。
この中で共通するのは、「上」「髪」「守」「神」は、どれも「上の方」を示しています。

つまり、「上」は、意味する通り「上の方」ですし、「髪」は、体の中で「上の方」ですし、「守」は、地位の「上の方」ですし、「神」は、人々の「上の方」に位置しているといった具合です。

そんな中「紙」だけは、「上の方」という感じがしません。何となく腑に落ちないのですが、私は、「紙」は、「神」と寄り添っているのだと思っています。
古来より、水稲栽培による稲作が、生活を支える重要なものでした。水稲栽培には水が不可欠です。
この水をもたらすものは、雨以外にはなく、雨が降るかどうかが、稲作にとっては最も大事なことで、人々にとって、雨は命をつなぐためのものだったことでしょう。

梅雨の時期、雨とともに、雷が鳴り、稲妻が空を走ります。「雷」は字のごとく、田に雨を降らす予兆であり、「雷」が鳴れば、雨がもたらせると信じたことでしょう。
「雷」が鳴り響くと、「稲妻」が走ります。「稲妻」も字のごとく、稲の妻で、稲を育てる恵みのものだったのでしょう。今では、稲妻は電気の放電現象と分かっていますが、この放電は、植物の成長を促すことも分かってきています。

空に轟く雷鳴と、空を切り裂く稲妻を、古代の人は「神」の為せるものと感じたことでしょう。
「雷(かみなり)」は、「神鳴り」。つまり神の声として崇め、「稲妻」は、豊作をもたらす紙の手と考えたとしておかしくはありません。

神社の鳥居などに飾られるしめ縄と、しめ縄から下がる「神垂(しで)」(写真1)と呼ばれるギザギザの紙は、しめ縄が雲で、紙垂は、稲妻をかたどっていると言われています(写真2)。
また、お祓いの時などに使われる「大麻(おおぬさ)」(写真3)は、木の棒の先にギザギザの紙が束ねられて付けられており、左右に払うとガサガサと音を立てます。これは、紙が鳴ることから「紙鳴り」=「神鳴り」=「雷」に通じるものではないかと思っています。

写真1 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)紙垂(しで)は、「神聖」「清浄」を意味し、邪気を払い、神様をお迎えする役割があります。稲妻の形に似ており、豊作や神の力を象徴するとも言われ、古くは麻や木綿(ゆう)が使われていましたが、現在は奉書紙などが一般的です。

写真2 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)しめ縄は、「雲」を、紙垂は、「稲妻」を、垂れ下がった藁は、「雨」を表していると言われています。雲が雨を降らせ、雷が稲を成長させるという、稲作文化を象徴するものです。

写真3 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)神事では、欠かせない「大麻(おおぬさ)」は、人や場所を清める儀式などで使われます。
      もとは麻などが付けられていましたが、現在では和紙が取り付けられているのが、一般的のようです。
「大麻」と書きますが、決して怪しいものではありません。

「紙」は、豊穣をもたらす「稲妻」をかたどり、紙の声「雷」を表すことから、「神」と「紙」は寄り添ったものだと思うわけです。

また、「白さ」は、日本人にとって、清浄、純潔、などを表し、人が作り出すことができる白いものとして、「紙」は不可欠なものだったのではないでしょうか。

とは言え、「大麻(おおぬさ)」は、字から想像できるように、古来は紙ではなく、麻などの布が使われていたと言われています。どの時点で「紙」になったのかの詳細は不明です。
紙の製法が日本にもたらされたのは、西暦610年のこととされています。
それ以降、いつの時点かに、「紙」になっていったのでしょうが、何時?何故という疑問は残ります。
また、バサバサと音を立てるのも、古くからの祭式では、音を立てないのが作法とされていたりします。

つまり、「紙鳴り」は無く、「雷」ともつながらないことになりますが、あくまで私の妄想です。

妄想ついでに、しめ縄は、稲わらで作られています。ここにも豊作を願う人々の思いが込められています。
大きなものでは、出雲大社の神楽殿に飾られるしめ縄(写真4)は、重さが5t以上もあります。
「重い」=「思い」なのかもしれません。

写真4 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)出雲大社の神楽殿に飾られる大しめ縄は、長さ約13m、重さ5.2tにもなります。
しめ縄は、数年ごとにかけ替えられます。
ちなみに今年の夏にかけ替えが予定されており、2018年にかけ替えられて以来、8年ぶりとなります。

雷が、植物の成長を促すのは、窒素、リン酸、カリウムと言われています。
窒素は空気中に多く含まれていて、雷放電により空気中の窒素は酸素と結びつき、窒素酸化物となります。これが雨に溶けて降り注ぐと、稲の肥料となり成長を促進させると言われています。
あまり多い、供給量ではないものの、稲が成長する上で雷は非常に重要な存在のようです。
古代の人は、感覚的に雷が多いと、豊作になるというのを感じ取っていたのかもしれません。

初詣で、しめ縄を見上げての妄想ですが、「紙」を「かみ」と読ませるのには、きっと何か訳があってのことでしょう。
しめ縄、紙垂、雲、雷、稲妻と、古代の豊作への祈りや、神の存在。そして「紙」。
「神」と「紙」との関係について、年明け早々、様々な妄想が頭の中に渦巻きます。

何はともあれ、この新しい年が、良い年でありますよう、祈念申し上げます。

写真1 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)紙垂(しで)は、「神聖」「清浄」を意味し、邪気を払い、神様をお迎えする役割があります。稲妻の形に似ており、豊作や神の力を象徴するとも言われ、古くは麻や木綿(ゆう)が使われていましたが、現在は奉書紙などが一般的です。

写真2 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)しめ縄は、「雲」を、紙垂は、「稲妻」を、垂れ下がった藁は、「雨」を表していると言われています。雲が雨を降らせ、雷が稲を成長させるという、稲作文化を象徴するものです。

写真3 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)神事では、欠かせない「大麻(おおぬさ)」は、人や場所を清める儀式などで使われます。
もとは麻などが付けられていましたが、現在では和紙が取り付けられているのが、一般的のようです。
「大麻」と書きますが、決して怪しいものではありません。

写真4 | 年明けの妄想(「神」と「紙」) - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真4)出雲大社の神楽殿に飾られる大しめ縄は、長さ約13m、重さ5.2tにもなります。
しめ縄は、数年ごとにかけ替えられます。
ちなみに今年の夏にかけ替えが予定されており、2018年にかけ替えられて以来、8年ぶりとなります。