図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]㉕
日本古典籍講習会の報告会
今回は、資料保存ワークショップメンバーが参加した、日本古典籍講習会の報告会についてお話しします。
このコラムでも何度か取り上げている、和綴じ本をたくさん並べての報告会でした。
【和綴じ本のコラム】
和古書の装丁と和綴じ
大学図書館と和綴じの本
日本古典籍講習会は、国文学研究資料館と国立国会図書館が主催する、図書館職員向けの研修です。
修復の話、くずし字の話、江戸時代の出版文化の話、様々な講義を受けることができます。
講習会の資料はウェブで公開されていますので、ご興味ある方は、ご覧ください。
とっても充実しています!
資料保存の話で、興味深かったのは、実は和綴じ本は帙(ちつ)に入れずに、横置きがよいとのこと。
みなさん、帙(ちつ)ってご存知でしょうか。
和綴じ本を包んで保管する箱のようなものです。
京都大学附属図書館でも、和綴じ本の多くは帙に入れられています。
和綴じ本は柔らかいので、洋装本のようにそれだけで立てるのが難しく、硬い帙にくるんで立てるという方法がとられています。
帙にくるむと、どうしても湿気やすくなりますので、(素足よりブーツの方が蒸れるのと同じ)資料保存という観点では、望ましくありません。
一番理想的な保管方法は、通常は横置きで保管し、たまに開いて風通しをする、です。
お寺などで持っている貴重な和綴じ資料は、基本的に横置きにしてあるようです。
京都の神護寺など、一年に一度虫干しをかねて、宝物類を一般公開してくれるお寺もありますね。
とはいえ、和綴じ本をすべて横置きにするスペースは図書館にはありません。
縦置きにする場合は、やはり帙に入れるのが望ましいようです。
写真のような帙は専門業者に注文したものですが、自分たちで簡易帙を作ることもできます。
日本古典籍講習会では、簡易帙の作り方も紹介されています。
四つ目綴じの方法も写真付きで詳しく説明がありますので、ぜひご覧ください。
報告会の最後には、四つ目綴じのデモンストレーションも行いました。
図書館資料保存WS
N.K.