あみりょうこ
CDMX, Museo del objeto del objeto(もののもの博物館)に行ってきた!
Febrero(2月)
こんにちは。あみりょうこです。2月に入り熱いな、と感じる日が増えてきました。メヒコでは、”febrero loco y marzo otro poco(2月は(気候が)めちゃくちゃ、3月もまだちょっと安定しない)”という表現があるくらい2月の気候は変動的です。
昼間はじりじり照り付ける太陽にあたりたくないなぁ、と思いながら壁すれすれに日陰を探して歩いたりしますが、夜になるとまた気温がぐっと下がったりするので上着が手放せません。そんな気温が変わりながら季節の巡りを感じている今日この頃。
1月に話は戻るのですが、CDMXにいるときにシルクスクリーン印刷のおもしろい展示に行ってきました。今回はその様子を紹介したいと思います。
MUSEO DEL OBJETO DEL OBJETO
最近は旅行をする際にAirbnbを使うことがよくあります。CDMXに行くことが決まっていたもののしっかりした予定を立てずにいたので、到着の前日に慌ててAirbnbで宿を取りました。
写真や他の人からのレビュー、そして立地などを見ながら吟味するのですが、見れば見るほどどれがいいかだんだんとわからなくなり、だんだんと宿を探すのすらなぜかおっくうになり、結局最後は宿のオーナーとのメールのやり取りなどから感じる「ここはええかもしれん」という謎の予感のようなものに頼る、ということになります。
私が今回泊ったのはCDMXにあるチャイナタウンのそばにあるところで、部屋の1室を借りるというタイプのものでした。
昭和な感じのにおいのするアパートで、シャワー室のタイルの色合わせなどがレトロモダンな感じでなかなか素敵でした。家に入るなり部屋の中央にドカンと作業机と製作途中の何かがあって、家主のリカルドさんはアーティストだということがすぐにわかりました。
話していると、刑務所でアートを教える仕事をするという興味深い人でいろいろと話していて面白い人でした。バックパックの旅をしていたころはバックパッカーの宿などに泊まると、同じようにバックパッキングで旅をしている他の国の旅の人たちに出会って彼らと話すのも面白かったですが、Airbnbの部屋貸しは地元の人の家に泊まるので、また違った目線でその街を知れるので面白いです。
もちろん、シルクスクリーンが好きなんですよね、という話をそんなリカルドさんに刷ると教えてもらったのが「museo del objeto del objeto(ムセオデルオブヘトデルオブヘト)」。「もののもの博物館」という何ともざっくりした名前の博物館です。
名前が面白いからという理由で依然通りかかった時に入ったことがあるところでした。その時はメヒコのモダンデザイン展ということで、椅子や雑貨など様々な製品の展示でした。小さな博物館だったので、もう来ることはないかもしれないと思っていたのですが、なんとちょうど今シルクスクリーンをテーマにした展示がしているというのです。
“10/25 Carteles de Conciertos”というタイトルで、バンドやミュージシャンのコンサートのポスター展(シルクスクリーンで刷られたものばかり!!)だったのです。
1階部分の展示室では、シルクスクリーンの仕組みや歴史の解説、シルクスクリーンに必要な用具などの展示もありました。
シルクスクリーンは基本的に1色に1版必要なので、このように展示してくれることによって、どのように色を重ねるのかを知ることができます。(写真2)
正面から見るとこんな感じのポスターになることがわかります。(写真3)
シルクスクリーン印刷の歴史を紹介するところでは、日本や中国などアジアでのスクリーン印刷についても言及されていて、それによると17世紀に日本で格子にシルク(絹)を貼ったのが「シルクスクリーン」という名前の由来になっているとのこと(写真4)。(*他のウェブサイトでも見てみたのですが、最初は格子に人間の髪の毛を張っていたと書かれているところもあり、真偽のほどはもっと調べてみないとだめですが、もし本当なら驚きの起源ですね。)
シルクスクリーンで5色の多色刷りを始めたのも日本が最初なんだそうです。そんな歴史があったとは!!
シルクスクリーンの道具たち(写真5)。普段使っているなじみのものばかりで身近に感じられテンションが上がりました。
シルクスクリーンの仕組みは、要するに「プリントゴッコ」です。(写真6)
2階はこのような感じで壁一面コンサートのポスターがびっちり。(写真7〜18)
すべてシルクスクリーンで刷られたものばかりなのに、デザインや紙で与えるインパクトが全く変わってくるので、シルクスクリーンの可能性を見せつけられました。
印刷技術はもちろん素晴らしいのですが、一見シンプルで1色や2色しか使っていないようなポスターが持つ力強さを感じてデザインの持つ力にも感心しきり。
あとは、学生のころから洋楽を聴いていて「バンドT」が好きだったということもあり、純粋に好きなバンドのポスターを見つけては「うおおおおおおお!!!!かっこええ!!!!」と大興奮なのでした。
あのツアーの時にこんなポスターをシルクスクリーンで作られていたのか……と、謎の角度から当時に思いをはせました。
ポスターは実際にツアーの日程や場所などを見る人に教えてくれる情報媒体です。かつては本当に情報を伝えるためだけのものだったのでしょうが(オアハカのマエストロキンタスも、かつては毎週映画の日程を活版印刷で各映画館のために刷っていたといいます。)、これらの現代のツアーポスターをみてるともはや情報を伝えるツールというよりはバンドやアーティストの作品で、ツアー日程以上のことを見る人たちに伝えてくれると感じます。
近頃では、駅や町の中でもポスターを見ることはあっても電子ポスターが本当に増えました。でもこうして実際の紙にインクを重ねて印刷されたポスターを見ると、人の手で作り上げられたものに宿る力のすごさを感じずにはいられません。そして、自分が印刷するものは小さなものばかりなので、やはり大きなサイズに印刷したものは迫力があるなぁとしみじみ見入ってしまいました。
この展示を教えてくれたリカルドさんには本当に感謝です。