三星インキ株式会社
NL規制について
今までは、印刷と印刷を取り巻く環境について関連する制度・マークを紹介してきましたが、今回は我々人間との関わりがある制度について紹介させて頂きます。
印刷用インキはあくまでも化学工業品であり、多くの化学物質を使用しています。
また、印刷用インキを直接触る方は非常に少なく、一体どのような形状を有しているかご存じない方も多くいらっしゃいます。
しかし、印刷用インキを用いて印刷された印刷物はどこにでも存在しており、新聞・雑誌・書籍といったものから、レトルト食品のパウチやお菓子の外箱、ペットボトル飲料、缶コーヒーなど、内容物を識別するためや購買意欲を持たせるものなどに色々使用されており、誰もが印刷用インキを使用した印刷物を手に取る事ができます。
しかし、前述の通り、印刷用インキには様々な化学物質が使用されており、人体にとって害となる物質が存在する可能性があります。
そこで、印刷インキ工業連合会は、印刷インキ中の化学物質を管理し、使用・配合するのに好ましくない物質の使用を禁止する『印刷インキに関する自主基準』(通称:NL規制)を運用しています。
最初は1973年に『食品包装材料用印刷インキに関する自主規制』を作成し、60物質の化学物質を規制対象物質として選定し、食品用包材には使用しないようにという事で始まりました。
その後様々な法規制を対象物質として広げていき、1999年には130物質の化学物質を対象として選定し、食品容器包装に係る食品衛生の向上に寄与してきました。
そして2006年には、食品包装材料用インキから印刷インキ全般に範囲を広げ、印刷インキの安全性や衛生性の向上、環境負荷の低減を目的として、現在の『印刷インキに関する自主基準』を制定しました。
また、2002年には準拠している製品に貼付できる『NL規制準拠マーク』表示制度を制定しています。
NL規制準拠マークは、安全基準をクリアした印刷インキから連想されるクリーンな液体をイメージさせる水滴と波紋をモチーフとしたデザインであり、視認性の高い青を基調色とし、グラデーション表現で、やさしさ、安心感というイメージを加味しています。
現在市場に流れている印刷用インキの殆どにはこのマークが貼付されており、他のマークが貼付されていなくても、このマークだけは添付されているのが多く見られます。
この制度は他の制度との関連が深く、印刷インキ工業連合会制定の『インキグリーンマーク制度』や『バイオファーストインキマーク』制度も最低条件としてNL規制に準拠した製品でないと適用されず、一般社団法人 日本印刷産業連合会が制定している『グリーンプリンティング認定マーク』や、その他の企業独自の基準書等にもNL規制に該当しないと使用できないなど、様々な所で使用されている非常に認知度の高い制度であります。
次回はもう少し詳細に説明させて頂きます。