(株)和光
活(い)きた版 「版の種類」
今回は、版の種類についてお話致します。
版には大きく分けて金属版と樹脂版があります。
金属版
主に印刷に使用される金属版は、マグネシウム・亜鉛・銅・真鍮があります。
マグネシウム…金属版の中では一番軽い。しかし、空気に触れているだけで、酸化が進行してしまいます。保管には注意が必要。
亜鉛…………活版ではよく使われます。エッチング工程で細りが生じます。そのため、印刷仕上がりがスッキリ仕上がります。
銅……………耐久性が良い。エッチング工程で少し細りが生じます。そのため、仕上がりがスッキリ仕上がります。
真鍮…………耐久性が一番良い。強い力がかかる場合に適しています。
耐久性の面から見ると、マグネシウム<亜鉛<銅<真鍮になります。
インキが付く凸面とベースとの間にショルダーと言われる土手が存在します。マグネシウム・亜鉛・銅はエッチングが1回(パウダーレス・エッチング法)のため、きれいに斜めになりますが、真鍮は段階エッチング(キリン血盛りエッチング法)のためショルダーが階段状になります。
また、金属版はエッチングさせて製版するので、アミ点の再現性に問題があります。
そして、版の厚みですが、
マグネシウム…1mm・1.6mm
亜鉛…………1mm・1.3mm
銅……………1.5mm・2mm
真鍮…………1.2mm
と様々で、ローラーや胴貼りの調整、もしくは低いメタルベースが必要です。
樹脂版
樹脂版は様々なメーカーから多様な版材が販売されております。多すぎてまとめられませんので、当社が使用している版材の中から、使われる版材をピックアップします。
WF-BSⅡ…………支持体がポリエステルフィルム
WF………………支持体がポリエステルフィルム
WS-H……………支持体がスチール
WF-H……………支持体がポリエステルフィルム
硬さの順番から見ると、WF-BSⅡ<WF<WS-H<WF-Hになります。
版の厚みは全て0.95mmで同じです。
感光性樹脂でできてますので、再現性はとても良く、アミ点も問題が少ないですが、樹脂のため、圧力によって少々版部分が潰れ、活版印刷では印刷太りが発生します。
巷で有名なディープレリーフタイプは版の厚みが1.52mmで硬さはWS-HとWF-Hの中間にあたります。
先程、アミ点の問題が少ないと申しましたが、製版上、グラデーション1%付近のアミは製版できたり、できなかったりするので、グラデーションをきれいに印刷するのが難しいです。
金属版・樹脂版共に特性を活かした版材チョイスで、印刷仕上がりは大きく変わります。