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白須美紀
オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店
紙匠雑貨エモジ

写真1 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

可愛いけれど、実は本格派

大阪心斎橋に程近い空堀商店街は昔ながらの長屋などレトロな建物が点在するスポットで、老舗の洋食屋やうどん屋、カレー店やカフェなど魅力的なお店が並ぶ楽しいアーケード。そのなかにある小さくて可愛らしい紙のお店が、エモジだ。店を覗いてみるとさまざまな紙アイテムが所狭しと並んでおり、紙好きのアンテナがピンと立つ。宝探しができそうな雰囲気が伝わってくるのだ。

実際にお店に入ると、ラインナップの充実ぶりはこちらの予想を軽く超えていた。紙でできた糸の「結紙(ムスブカミ)」やカットした紙管に紙が入った紙の缶詰「紙缶」、昭和の頃の和紙をリサイクルした封筒など珍しいものが続々と目に入る。一見すると愛らしいお店なのだが、実はなかなかの本格派でマニアックなのだ。それもそのはず、店主である早馬一雄さんは、元は特殊紙の会社の営業マン。紙の知識や加工技術に詳しく、会社員時代のB to B の仕事を引き続き受けながらエモジを営んでいるという。

写真2 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真3 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

「特殊紙というのは、コースターやナプキン、クリーニングのタグなど、商売に使用する目的が決まった紙のことです。今は特殊紙だけではなく学校の教材など、さまざまな相談が来ますよ」

長く業界にいる早馬さんのもとには、紙をつくる人、紙を卸す人、紙を使いたい人から、色んな相談が飛び込んでくる。その仕事のなかで小売りできそうな紙が発生すると、エモジの商品にも活用されるのだ。例えば、デニム紙もエモジだからこそのアイテムだろう。岡山のデニム工場で廃棄されるデニムを漉き込んだ紙で、毎年人気の週替わりカレンダーやノートの用紙に使われている。

写真4 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真5 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真1 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真2 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

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写真5 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

自分好みのオリジナルノートをつくる

そんなエモジの一番人気はやはり、自分で表紙や中の用紙を選んで製本してもらうオリジナルノートだろう。サイズはA5とB6の2種類があり、ゴム留やホック留めなど仕上がりの形状も選べる。

表紙は布貼りで、ポップなものからクラッシックなものまでさまざまな柄が揃い、隅まで角の立った美しい仕立てが目をひく。同じ柄でも生地の取り方が変わると印象も変わるし、表紙と裏表紙を違う柄にすることもできるので、表紙選びはかなり悩ましい。同じ布が再度手に入らない場合も多く「今ある表紙とは一期一会の可能性がある」と聞けば、ますます真剣になってしまう。

表紙が選べたら次は中の用紙を決める。無地や罫線、方眼はもちろん、タイムスケジュールやお店の記録ができるようなデザインの用紙、封筒などが用意されていて、ここから4種類まで選べるという。どれも使いやすそうなうえ色違いもあるため、これもまたかなり悩ましい。

写真6 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真7 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

「この棚の前に1時間くらい立って悩んでいるお客様もおられますよ。中の用紙を全部使ってしまったら、またお店に来ていただいて、中身だけ入れ替えたり、追加で足したりしていただけます」

楽しい商品に感心していると「それもこれもコイツのおかげですね」と早馬さんは笑顔でバインダーを指した。このドイツ製のバインダーで、仕上げのリング製本を行っているのだ。

ノートはいつもその場で綴じてくれるが、注文が混み合った場合はお客様に待ってもらうこともあるという。空堀商店街をぶらつきながら完成を待つのも、楽しいひとときになるだろう。こうして、わくわくした気持ちとともに、自分で選んだ紙だけでできている特別な1冊が誕生するのだ。

写真8 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真9 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

店内には正方形の8×8ミニノートもあった。これも同じように表紙と中の用紙を選んで製本してもらうものだ。

「A5とB6のノートはお店のみですが、ミニノートはワークショップとして、店外イベントにも持っていきます。毎回大勢のお客様がブースにお越しになりますが、みなさんめちゃくちゃ悩んで選んでおられますね」
と、早馬さんは楽しそうに教えてくれた。

企業相手の仕事だけでも忙しい早馬さんがエモジを続けているのは、やはりそんなお客様の様子に元気をもらえるからだろう。こうして紙をこよなく愛する紙のプロは、楽しいアイデアで今日もわたしたちの紙の世界を広げてくれるのだ。

写真10 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真11 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

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写真7 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真8 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真9 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

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紙匠雑貨エモジ

写真12 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所

〒540―0005
大阪府大阪市中央区谷町6丁目4-24
06-4392-7972
http://www.kami-emoji.com/
A5ノート:表紙400円、中面250円/B6ノート:表紙350円、中面230円/8×8ミニノート:650円、袋セット(MAMEMO)850円/週替わりカレンダー935円(すべて税別)

写真12 | オリジナルノートづくりが楽しい紙のお店 紙匠雑貨エモジ - 白須美紀 | 活版印刷研究所