紙博ならではの楽しい仕掛け

「まちかど紙博in 美濃」は、単にお買い物が楽しめるだけではない。スタンプラリーやハンコ押し放題、トークライブ、音楽ライブなど、主催する手紙社ならではの心弾む仕掛けが詰まっている。自分が持っている紙やシールなどをメッセージとともにラッピングして会場の棚に置き、交換で他の誰かの品を受け取る「紙ものお裾分けっこ」も楽しい。

この日は今にも豪雨が降り出しそうな蒸し暑さだったが、大人も子どもも汗をかきかき目を輝かせてイベントに参加していた。お互い紙好きゆえ、客同士で交わす会話も弾む。わたしもたくさん買った紙を見せてくれてくれた小学生と話が盛り上がり、スタンプラリーの回り方を教えてもらった。

また、「まちかど紙博in美濃」のために製作された出店者と地元企業とのコラボ品も楽しい試みだった。小箱入りの和紙メモや、ポチ袋、落水紙までさまざまあり、紙の町美濃の実力を感じさせる。わたしの目当ては出店者のWACCA JAPANと美濃の企業である丸重製紙、吉田印刷所による「美濃和紙カラーチャートポスター」。ポスターとして楽しめるのはもちろん、色指定がデザインの一部になっていて和紙を印刷するカラーチャートにもなるという優れものだ。白と生成りの和紙以外に、テストで刷ったという麻の繊維がすき込まれた「小倉紙」バージョンが少量だけあるというので、ぜひそのレア品の実物を見てみたい、できれば購入したいと考えていた。だが、午後に到着したときにはすでに遅しで、レアバージョンのテスト品は売り切れてしまっていた。希少な品から売れるあたり、この日美濃に集まってきているのがコアな紙ファンであることは間違いなさそうで、目当ての品が買えない残念さとお仲間がたくさんいる嬉しさを同時に噛みしめることになった。

何しろ「まちかど紙博in美濃」は、盛りだくさんだった。遠路関西からの参戦で午後からの見学となったため、全く時間が足りなかったのが正直なところだ。もし次があるなら宿泊込みの参加を検討したい。わたしと同じように考えているお客さんも、多いに違いないだろう。出店者以外の地元の紙屋さんや飲食店なども賑わっていて、このイベントが美濃の町おこしにつながっていることも実感した。紙で栄えた町ならではの素敵な町おこし、ぜひこれからも続けて欲しいと切に願う。