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白須美紀
書くことの喜びにあふれた人気イベント
京都手書道具市

写真1 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

京都でお馴染みの人気文具イベント

京都で毎年開催され文具ファンが心待ちにするイベントに、「手書道具市」があるのをご存じだろうか。第6回目となる2025年は1月12日・13日に行われ、今年も大勢の来場者で賑わった。今回のメイン会場となったのは烏丸姉小路にあるAceHotel、テーマは「旅を綴る」だ。

「来場されるお客様に手書きの喜びを感じながら、“手書きの魅力を再発見する旅”を体験していただきたいと思い企画しました。隣接する新風館にサテライト会場を用意して台湾からの出展者にも登場いただきましたので、異国文化も感じてもらえると嬉しいですね」

と、イベントを主催するタケダ事務機の森内孝一さんは話す。こだわりのペンやインクはもちろん、活版印刷や和紙などの紙アイテムが充実しているのも手書道具市の魅力だ。ホテルの雰囲気も楽しめる居心地のよい会場を、紙を切り口に回ってみた。

写真2 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真3 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真1 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真2 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真3 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

魅力あるブランドの魅力ある紙製品たち

紙ファンにお馴染みの「山本紙業 YAMAMOTO PAPER」では、紙の会社がこだわりぬいたノート、紙製品などが揃う。「紙」そのものも販売されており、ハガキサイズの紙で好きなものを選べる「京都鴨川 紙の蚤の市」が人気を集めた。また、同じく紙の企画で筆記性に優れた紙のなかからお気に入りを5種類を選べる「書いて気持ちいいMemo Box」も手書道具市にぴったりの楽しい企画。ラインナップには生産が終了した金閣殿などの貴重な紙も含まれており、書き味を試したり、それぞれの紙についての秘話をうかがったりすればするほど、どれも魅力的に見えてどんどん選ぶのが難しくなる。そのため山本紙業のブースはゆっくりじっくりと紙を選んでいるお客様が多く、みんな実に楽しそうなのが印象的だった。

写真4 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真5 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

センスのよい活版印刷アイテムで人気の大枝活版室OEDA LETTERPRESSも、レターセットやシール、メモなどが揃い大勢の女性客で賑わっていた。新作の「ORIGAMI LETTER」は、100×100mmの正方形サイズの和紙に活版印刷で繊細な模様をあしらったメモパッドだ。光沢のあるモダンな和紙が印象的なうえ、折り紙としても楽しめるという。

同じく活版印刷で一筆箋やレターパッド、リングノート等を制作している廣運舘活版所の新作は、M6サイズのシステム手帳に使えるインデックス。明治時代の絵柄をアレンジし、特殊紙「カラープラン-FS」に手動の活版印刷機で印刷したものだという。長く印刷に携わってきた店主こだわりの一品だけあり格調高い仕上がりで、ビジネスシーンなどにも活躍しそうだ。

写真6 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真7 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

一方、上質な和紙アイテムが揃うWACCA JAPANでは、手書き関連が充実。筆や文鎮などのほかに、越前の石川製紙(紙和匠)の新製品「源氏和歌なぞり」も注目を集めていた。WACCA JAPANが企画デザインを担当したもので、源氏物語の和歌をなぞり書きして、かな文字の書に挑戦できるキットだ。若紫(わかむらさき)、明石(あかし)、花散里(はなちるさと)の3種類があり、光源氏とそれぞれの物語に登場する姫君が詠んだ和歌がなぞり書きできるよう印刷されている。小筆と小さな墨汁がセットになっているので初心者も気軽に挑戦しやすいのも嬉しい。WACCA JAPANのブースでは、イラストレーター・ニシタニユウキさんの似顔絵イベントも開催。ドイツ製万年筆を用いて手漉きの耳付き和紙カードに似顔絵を描いてもらえるもので、途切れることなくお客様が体験に訪れていた。

また、友禅和紙のアイテムが魅力ある尚雅堂は、和紙そのもののデザインや品質が優れているのはもちろんだが、筆箱などの立体物の仕上がりが端正なのも魅力だ。立体物の新作として、人気の友禅和紙を組み立ててつくるトレイ「TUCK」がお目見えしていた。

写真8 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真9 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

ホテルに隣接する新風館では、入場無料のサテライトスペースが用意され、台湾と日本の工芸を中心としたクリエイターをつなぐマーケットイベント「島作」がオーガナイズしたブランドが出店。本会場と同じように手書きや工芸、出版など、手仕事を大切にした営みを展開するお店が揃い、手書道具市の来場者はもちろん、新風館を訪れた買い物客でも賑わっていた。国と言葉が違うだけで、根底に流れるものづくりや暮らしへの目線、良いと思える物、デザイン、機能などはとても近しいのが印象的だった。

今年の手書道具市では、誠光社、ホホホ座浄土寺店、MUJIBOOKS といった本好きが注目する書店も初出店。書くこと、読むことのすぐそばにある存在の「本」が加わり、さらに厚みのあるイベントとなった。数多いアイテムを見てまわるだけでも十分に楽しく刺激的だが、ワークショップに参加したり、出展者とこだわりの作品についてゆっくりお話しできるのもイベントの大きな魅力だ。年々パワーアップしているので年々滞在時間が長くなってしまうのも、むべなるかな。参加されるときは、時間に余裕を持って訪れるのをおすすめしたい。

写真4 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真5 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真6 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真7 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

写真8 | 書くことの喜びにあふれた人気イベント 京都手書道具市 - 白須美紀 | 活版印刷研究所

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