(株)和光
活(い)きた版 「エンボスその2」
今回は、前回に引き続き、エンボスについてのお話です。
前回では8ptの文字が一部、6ptの文字と0.283ptの罫線が下版が作成できなかったので、エンボスがかかりませんでした。
他の部分は下版があり、上下から圧力がかかり、下版がない部分は下からの圧力がなく、宙に浮いた状態になって下側は逆に圧力が抜ける状態でした。
今回は下版の素材を変えてみたり、下版の控えをかえて、圧力ががかかるようにしたいと思います。
まず、素朴な疑問として、下版を作成しないで、クッション材だけでエンボスをかけてみます。
使用したのは、キムロン(KIMLON)と言われる紙繊維にゴムを染み込ませ、ゴムのような弾力性を持たせたものです。(写真1)
うっすらエンボスはかかりましたが、迫力がありません。6ptの文字や0.283ptの罫線はほんのうっすらしかエンボスがかかりません。(写真2、3)
次に、6ptの文字や0.283ptの罫線が残るギリギリまで控えを少なくした下版を作成して試します。
今回は0.05mm控えになりました。(写真4~6)
0.283ptの罫線は細すぎて、製版時によれてしまいました。(写真7)
それではエンボスをかけてみます。(写真8、9)
6ptの文字は無事エンボスがかかりましたが、0.283ptの罫線は下版がよれたせいで、うっすらしかエンボスがかかりませんでした。エンボスも全体的に前回のものと比べると、少し浅いです。
次に、控えなしで、下版を作成してみます。(写真10~12)
さあ、どうなるでしょうか?わたしもはじめての経験です。(写真13、14)
0.283ptの罫線もエンボスがかかりましたが、0.05mmの時よりも全体的にほんの少し浅くなりました。
でも、エンボス文字は読めます。
下からピンポイントにかかる圧力があれば、エンボスがかかることが分かりました。
しかし、浮き出しが浅いので、しっかり浮き出させるためには、控え幅を考慮したデザインが必要になります。
デザインする上でどうしても小さく、細くなる所は、控え無しで対応することも可能でしょう。
また、下版の作り方次第で、変わったエンボスも可能になります。(写真15、16)
ピラミッド形にエンボスがかかっています。
通常のエンボスですとこうなります。(写真17、18)
こう考えると、可能性は無限大に広がります。
みなさんも色々お試しください。