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(株)和光
AMスクリーンについて

前回は、スクリーンについてご説明させていただきました。今回は、AMスクリーンについてもう少し掘り下げていきたいと思います。

AMスクリーンは、濃淡をアミ点の大きさで表現する方法です。任意の空間の濃度をアミ点に置き換えるため、空間の境界がアミ点と印刷されない余白部分の影響で、段差が生じてしまいます。
線数を上げれば、目立ちにくくなりますが、活版印刷機等を使用して印刷される際は、インキ詰まりやマージナルゾーンが発生するため、線数を低くする必要があります。よって、境界部分の段差は目立ってしまいます。
また、デザインの関係で、一部の文字を強調させるために他の文字の濃度を下げた場合でも、文字がアミ点で表現されるため、読みにくくなります。
今回は、この点を視覚的に分かりやすくするため、文字や枠線を製版してみましたので、比較してみましょう。

まずは、データ作成です。上段は100%、下段は30%の濃度でデータを作成しました。線数は、活版印刷でよくチョイスされる85線と100線を使用し、比較用に175線で同じものを製版しようと思います。

画面やプリント上の30%部分は、濃度表現なので、境界がはっきりしています(写真1)。製版すると、どうなるでしょうか?

(写真1) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真1)

先程のデータで製版し、校正刷り機を使ってシアンで印刷してものです(写真2)。100%の分は当たり前ですが境界がはっきりしています。30%の分はどうなっているでしょうか?拡大してみます。

(写真2) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真2)

まず、85線から見てみましょう。85線のアミ枠の境界は、ガタついています。スラッシュのガタつきが一番目立ちます。文字は今回のポイント数(15.5pt)では明朝体の横線がギリギリ読めますが、ポイント数が小さくなると、読みづらくなりそうです。(写真3)

(写真3) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真3)85線

次に100線を見てみましょう。100線の場合は、文字は85線よりは読みやすくなりましたが、スラッシュのガタつきは気になります。(写真4)

(写真4) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真4)100線

最後に175線を見てみましょう。175線の場合は、文字はしっかり読むことができますし、スラッシュも気にならないレベルです。(写真5)

(写真5) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真5)175線

印刷範囲が狭くなればなる程、また、線数が低くなればなる程、アミ点が配置される個数が少なくなりますし、境界のガタつきは目立っていきます。デザインによってはアミ点が配置されない部分も発生します。
活版印刷において、印刷の都合でやむおえない場合や、意図的に印刷される以外は、文字のアミかけは、可能であれば避けたほうが良いと思います。
今回の場合は、スミとグレーの2色で印刷すると、濃度差も出ますし、文字や枠線もはっきりし、見やすく、読みやすい印刷物になります。しかし、デザイン上に複数の濃度があるものであれば、色数(版数)や、印刷工程が増え、コストが上がっていきます。デザインされる時から、この事を加味してデザインされることをおすすめいたします。デザインと印刷を別々の方が行われる場合は、打ち合わせを密にして、良いデザイン、良い印刷をしていただければ幸いです。

(写真1) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真1)

(写真2) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真2)

(写真3) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真3)85線

(写真4) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真4)100線

(写真5) | AMスクリーンについて - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真5)175線