図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]⑮
図書館資料のデジタル化
いつもは本の修復のお話をさせていただいていますが、今回は少し毛色を変えて図書館資料のデジタル化のお話です。
資料を修復することと、資料をデジタル化すること。
全然関係ないようですが、実はどちらも資料の長期的な保存ということにつながります。
昔は、図書館の資料を長期的に保存するには、適切に管理し、劣化した場合は修復をするということしかできませんでした。
しかし、修復にも限界があります。
修復に修復を重ねても、いずれ利用に耐えなくなる日がやってきます。
それを解決する一つの方法が、資料のデジタル化です。
現物を見る代わりにデジタル画像を見てもらうようにすれば、現物を動かす頻度が減り、資料へのダメージが軽くなります。
資料の劣化を心配せずに、多くの人が利用できるという、図書館にとっても、貴重な資料を見たい人にとってもハッピーなのが、資料のデジタル化という取り組みなのです。
京都大学では、2017年12月に「貴重資料デジタルアーカイブ」を正式公開し、京都大学の図書館が所蔵する様々な資料を高精細なデジタル画像で提供しています。
一例を紹介すると、
天正遣欧使節団というのを歴史の授業で習ったことを覚えている方もおられるかもしれませんが、彼らの肖像画です。(写真1)
1586年にドイツのアウグスブルグで印刷されました。
“Newe Zeyttung auss der Insel Japonien”(日本島からのニュース)と題されたこの肖像画には、使節団のメンバー4人と案内兼通訳のメスキータ神父が描かれています。
この時代にヨーロッパを巡った日本の少年たちがいたという確かな記録ですね。
(写真2)は、歌舞伎の前身であるお国歌舞伎の様子を描いた絵入り本です。
真ん中で舞っている人がお国のようです。
絵柄もとっても可愛いです。
現物を見るのが大変な大判の地図も、デジタル画像なら資料を傷めることなく、拡大縮小も自在にできます。(写真3)は、古い京都の地図で、拡大すると、清水寺や祇園の文字が見えます。
この他にもたくさんの貴重な資料が公開されています。
資料を保存しつつ、多くの人に見てもらえるデジタル化。
今後ますます公開画像を増やしていく予定です。
ぜひ、一度ご覧ください!
【京都大学貴重資料デジタルアーカイブ】
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/
図書館資料保存WS
N.K.