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株式会社 オオウエ
和紙印刷・加工の難しさ

こんにちは、株式会社オオウエの大上です。
いつもありがとうございます。

これまで、和紙の良さなんかを結構書いてきましたが、実際には洋紙に比べると加工適正は著しく落ちてしまいます。

今回は、難しいポイントを書いていきます。価格は割愛です。

・発色が悪い

和紙は、繊維が長く目が粗いため、インキをたっぷり吸います。
そうすると、自分たちが思っていたより2段階くらい暗い色になってしまいます。
あらかじめ明るめにデータを作ってもらうなどの対策が必要です。
どれくらい沈むか、などが統計的に分かればいいのですが、そういうものもないので、実際には校正で上がってきたものから、徐々に合わせていく必要があります。

(写真1) | 和紙印刷・加工の難しさ - 株式会社 オオウエ | 活版印刷研究所

・紙質が不均質なので加工しにくい

封筒加工やポチ袋を作るときなどにも、どうしても斜めになってしまったりすることがあります。
洋紙ではそうしたことはまだ少ないらしいのですが、ふたが斜めになったり。
これは、紙質が不均質なところからきているんでしょうね。

(写真2) | 和紙印刷・加工の難しさ - 株式会社 オオウエ | 活版印刷研究所

・給紙しにくい

これも繊維の長さからくるものですが、通常エアーで紙を給紙するタイプの加工機では、紙を吸い取ってくれないので、自動で送っていくことが難しいです。
吸盤をつけたり、手差しにしたりと、工夫が必要です。

・薄いものがメインである

洋紙や特殊紙は、90㎏でも薄手で、140㎏とか200㎏とか、そうしたしっかりした紙も多いですよね。
和紙の場合は、下は20㎏くらいから、厚くても90㎏くらいまでというのが相場です。
そうなると、当然世の中の印刷機や加工機は全体的に多い方に合わせていくものなので、薄いものは苦手になりますよね。
実際、薄いものを得意としていた印刷会社さんは近年減り続けていて、弊社でも頼りにしていた会社さんがなくなってしまい、大変困っています。

比較的、活版印刷では厚みや給紙のしにくさを回避できるので、和紙の印刷には向いています。

(写真3) | 和紙印刷・加工の難しさ - 株式会社 オオウエ | 活版印刷研究所

これが、ひとたびドイツなど海外の印刷先進国では、薄いものを自動で印刷できるマシンも存在する、という情報を聞いたので、実際に見てきたいなあと考えております。

今回は、和紙のネガティブな部分についてお伝えしました。

こうして扱いづらいことを差し引いても使いたい。そう思ってもらえるにはどうすべきかを日々考えています。

(写真1) | 和紙印刷・加工の難しさ - 株式会社 オオウエ | 活版印刷研究所

(写真2) | 和紙印刷・加工の難しさ - 株式会社 オオウエ | 活版印刷研究所

(写真3) | 和紙印刷・加工の難しさ - 株式会社 オオウエ | 活版印刷研究所