図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]㉘
株式会社モリサワへ行って来ました!
2月21日は活版茶論#1
「【活版茶論 #1】分る&解る&判る文字組版」
株式会社モリサワさんでのセミナー聴講とショールームの見学に参加してきました。
株式会社モリサワさんは創業大正13年
写真植字機の発明から始まったフォント制作の会社です。
私たちが日々パソコンで文字を入力すること、iPhoneで日本語を打つこと、
これらを可能にした技術を持たれる会社です。
セミナーでは、写真植字機のこと、フォントのこと、異体字(例えば「沢」と「澤」など同じ意味を示すが使い分けされる漢字)の表現のことや事情によっての使い分けなど詳しくたっぷり時間をかけて説明を受けました。
普段は完成系、もしくは完成後の破損系の印刷物ばかりを扱う私。
この日はそれら印刷物を構成するたくさんの要素の一つ、だけど、情報伝達の要となる「文字」について意識を向けることができました。
印刷物が私たちの手元に届くまでにたくさんの人の手によって調整され、美しく、印象に残る文字が出来上がります。
発明家、職人たちの歴史の積み重ね。たくさんの失敗や成功が繰り返され、現在のようなデザイン性豊かなたくさんのフォントが生まれ、あらゆる表現を可能にしています。
日本は特殊で平仮名、カタカナ、漢字、数字、欧文等を使用します。これほどたくさんの文字の種類を使用する国はほかにはなく、組版や文字コードの製作は難しいそうです。
写真植字機から始まり、あのApple社さんと取引をするに至った大きな転換期があり、現在多くの企業やデザインの現場でも使用されるフォントソフトの制作までの歴史とフォントの事情を時間たっぷり聞くことができました。
モリサワさんはショールームもとても充実しています。
その所蔵はまるで博物館!
実物の写真植字機をはじめとする代々一線で活躍してきた文字作りの機械たちの展示はモリサワさんの歴史そのもの。
加えて、教科書や資料集で目にした機会のある文字と書物の歴史の象徴的なコレクションを見せていただくことができます。
驚くべきことにオリジナルのものが多いこと!
例えば、メソポタミア時代の粘土版活字、転がすことでシュメール文字で連なる文章や模様を刻印できるシリンダー・シール(写真2)
日本最古の木版印刷・百万塔陀羅尼、李朝時代の木活字、金属活字を発明したグーテンベルクの42行聖書などなどなど。
印刷物を愛する方なら鼻息も荒く興奮してかぶりついて観てしまいそうな、貴重なコレクションの数々が展示されています。
富を一時的な欲求に利用されるわけではなく、世界中の残されるべきものの収集に使われた創業者の森澤信夫さんの心意気に感服します。
個人的は、イギリス産業革命時代、モダンデザインの父と呼ばれるウィリアム・モリスの作ったケルムスコットプレスで製作された本。
オリジナル版ばかりで、その装丁の美しさや、文字の美しさを目の前に観ることができ感動しました。
1番の感動は、モリスの手書き文字!つまりフォントですよね。
装飾的で優雅で、ガラス越しではありながらもインクのにじみや濃淡などを見つけることができ、モリスがどのような環境で、またどのような思いで筆を走らせていたのか想像力が掻き立てられました。
何年先、何十年先、何百年先にも残り、語り継がれる仕事の素晴らしさを感じる1日でした。
資料保存WS
小梅