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京都大学図書館資料保存ワークショップ
[図書館に修復室をツクろう!]㉒
最近のワークショップ

豪雨に大型台風、そして地震。
みなさんのお住まいの地域の被害はありませんでしたか?

私たち資料保存ワークショップは、月に1、2回しか無い開催日なのに、よりによって天候不良がバッティング、交通機関などの運休も重なり臨時休室が続きました。
1年前の今頃のワークショップなら、修理本もない、人の集まりも少ない、で臨時休室なんて大して困ることではありませんでした。
ですが、今は違うんですね、すべきことがたくさん。
臨時休室は、ちょっと困るようになりました。

修理本は、スタンバイしているものもあれば、修理途中のものもあります。
それから、オリジナルの修理用和紙セットに続いて、現在、本の修理に適した、糊、和装本の綴じ糸を探しているところで、それらサンプルのモニタリングも行おうとしています。
いつか、「これがあればあなたもすぐに修理できますよ!」なんて、ご紹介したいと思っています。

ここにコラムを書かせて頂くようになり、お蔭様でお問い合わせや見学のご希望を頂くこともしばしば。
興味を持って頂けること、とてもありがたく思っています。

私たちは、「京大」とは名乗っているものの大学では非公式のグループ。
資料のデジタル化、e-bookやリポジトリ公開が進み、図書館でも、手を動かし破損本を業務時間内に修理するということが、時間的にも予算的にも技術的にも難しく成りゆく昨今、学内でもなかなか興味を示してもらえなかった活動ですが、最近はたまに新任の職員の見学や参加があるようになりました。

参加者のみなさんには、現在抱えている破損本で修理体験をしてもらったり、使っている道具の話をさせてもらったり。

「和紙にも色々あるんですね、」とか「ヘラを使うんですね。」とか「直るとうれしいですね。」などの感想を頂け、直せることの気づき、直ることの喜び、を感じてもらっているように思います。

それまでの閉鎖的な活動に、学外からの逆輸入のように学内でも意識してもらえるよう繋がれば・・・
との私の密やかな願いが少しづつ実を結びつつあるようで、臨時休室に対する悲鳴は、そのことを改めて気づかせてくれる嬉しい悲鳴へと変わってゆきます。

今年は、記録的な災害が本当に度重なって起こっています。
人や建物、土地が被害を受けるということは、同時にその地域にある図書館や資料館などの所蔵資料も被害にあっている可能性があります。
もちろん第一優先は人ですが、今後それら資料のレスキューも問題に挙がってくるのではないかと思います。

全く、何が起こるか分からない世の中。
大したことはできませんが、本に関わる方に「直す」ことへのハードルを下げる一助に、このコラムが繋がればと願いながら、これからも綴っていきたい思いです。

この度の災害により、被災された方々に心よりお見舞い申し上げますと共に、少しでも早い復旧をお祈り申し上げます。

資料保存WS
小梅

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