(株)和光
活(い)きた版 「樹脂版製版工程」
今回は、前回お約束した、樹脂版の製版工程をご紹介します。
まずは樹脂版の構造をご覧ください。(写真1)
樹脂版材は、紫外線(UV)硬化樹脂でできております。感光性樹脂層がそれにあたります。UVに照射された部分が硬化するので、その特性を利用して版を作成します。
基盤はポリエステルフィルムが基本で、スチールのタイプもあります。感光性樹脂層は種類が色々あり、版の硬度等が違います。活版印刷では、硬度が高い版材がよく使用されます。カバーフィルムは使用するまでの感光性樹脂層の保護用です。
樹脂版の製版工程ですが、大きく分けて、
1.ネガフィルム密着
2.UV露光
3.洗い出し
4.乾燥
5.後露光
と5工程に分かれます。
詳しくご紹介しましょう。
まず、ネガフィルムと樹脂版材を用意します。そして、カバーフィルムをはがします。(写真2)
1.ネガフィルム密着
樹脂版材の上にネガをのせ、塩ビシートをかぶせて真空密着させます。ネガと樹脂版材の間に隙間があると、樹脂版材にUV光が拡散して当たるため、ネガ通りの製版が出来ないからです。(写真3)
2.UV露光
UVを照射します。ネガの透明部分はUVが通過して感光性樹脂層に照射されるので、照射された部分の感光性樹脂層が硬化します。ネガの黒い部分はUVが通過しないので、照射がされなかった部分の感光性樹脂層は硬化されません。(写真4)
3.洗い出し
水(界面活性剤添加)に漬け、ブラシに樹脂版を回転運動しながら当て、硬化されなかった樹脂層を除去していきます。洗い出しと呼びます。(写真5)
4.乾燥
版が洗い出しの工程で濡れているので、乾燥機にて乾燥させます。(写真6)
5.後露光
もう一度UVを照射し、今までの工程で形成された凸版部分を強化します。(写真7)
基本的には、この5工程で樹脂版は製版されています。その後、出来上がった樹脂版に実際にインキをつけて紙に印刷し、検版作業をして完了です。
弊社では、長年のノウハウを活かしてデータ編集をし、先程ご紹介した5工程以外にも独自の作業を加えて、より精度の良い製版に努めております。