(株)和光
プロセスカラー印刷
前回のモアレのご説明の中で、カラー印刷について少し触れたので、今回はプロセスカラー印刷についてご説明したいと思います。
プロセスカラー印刷とは、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)の4色のプロセスインキを使った印刷です。一般的にカラー印刷と言われるものはこれを指します。
それでは、実際の印刷物の状態を見てみましょう。(写真1)
全体的に色が少々濁っていますが、私の画像処理能力の問題なので、無視してください。本当は、きれいなイエロー、シアン、マゼンタ、スミで印刷されています。C・M・Y・Kの違ったアミ点濃度の掛け合わせによって様々な色が表現されています。
先程のように、印刷物はC・M・Y・Kの4色のアミ点(%)を組み合わせることによって、様々な色を表現します。まず、印刷色の基本3原色であるC・M・Yの3色を組み合わせてカラーを表現します。CとMを掛け合せると紺に、MとYを掛け合せると赤に、CとYを掛け合わせると緑になり、C・M・Yを掛け合わせると黒になります。理論的には、C・M・Yで表現できますが、3色の掛け合わせの黒はきれいな黒にはならないので、ブラックを使用します。
C・M・Yを重ねていくと明るさがなくなり、黒になるので、減法混色といいます。このC・M・Yは「色料の三原色」と呼ばれます。(写真2)
余談ですが、もう一つ、加法混色というものがあります(写真3)。これは、赤(R)・緑(G)・青(B)の3色を組み合わせて表現する方法です。R・G・Bを重ねていくと明るくなり、白になります。この方法は、ブラウン管(なつかしい)・液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイ等、コンピューターやテレビ、スマートフォンの画面表示に使われています。このR・G・Bは「色光の三原色」と呼ばれます。
話を戻しまして、C・M・Y・Kの4色を組み合わせると、色々な色を表現できますが、表現には限界があり、DICやPANTONE等のチップカラーの色にはピッタリ合うとは限りません。
ご覧のカラーチャートはごく一部ですが、ご覧になって分かる通り、少々鮮やかさに欠けます(写真4)。よって、紫系や鮮やかな緑系、オレンジ等の色は、表現が苦手になります。また、金や銀、蛍光色は再現は不可能です。
この場合は特色(スポットカラー)を使用します。しかし、特色を使えば使う程に色数が増え、版数や印刷工程が増えていくので、できるだけ色数が少なくなるようにお客様との打ち合わせが必要になります。どの色を特色で印刷し、どの色はプロセスカラーで印刷してもよいか精査をして、効率よく、またお客様の満足できる印刷物を印刷するかが腕の見せどころです。