平和紙業株式会社
環境と紙(その4)
「COVID-19」と名付けられた新型コロナウィルスが、感染の広がりをみせています。
これまで人-人感染はないと言われてきましたが、昨今の状況は、それを否定するような事例も出てきた状況です。
感染を防止する対策として、うがい、手洗いの励行や、マスクの着用が挙げられているのと同時に、多くの人が集まる場所に出向くことを極力避け、人を多く集める行事の中止や延期も視野に入れるようになってきました。
目に見えない相手と対峙しなければならないので、少々過敏な対応にならざるを得ないのが現状でしょう。
目に見えない相手は何もウィルスだけではありません。NOx(硫化酸化物)やSOx(窒素酸化物)は、空気中に存在する有害な物質です。どちらも大気汚染の原因となる物質で、気管支炎やぜん息などの原因ともいわれています。
また、ホルムアルデヒドのように、シックハウス症候群の原因にもなる物質も存在しています。
臭いもまた目に見えない相手です。アセトアルデヒド、アンモニア、硫化水素など、人体に影響を与える臭気もまた、大気中に存在しています。
こうした見えない相手と対峙するために考えられたのが、「光触媒」です。
「光触媒」は太陽や蛍光灯などの光が当たると、その表面で強力な酸化力が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を除去することができる環境浄化材料で、主に二酸化チタンが利用されます。
光触媒の原理は少々難しいのですが、二酸化チタンの表面に光(紫外線)が当たることにより、その表面から電子が飛び出します。このとき、電子が抜け出た穴は正孔(ホール)と呼ばれており、プラスの電荷を帯びています。 この正孔(ホール)は強い酸化力を持ち、水中や空気中にあるOH-(水酸化物イオン)などから電子を奪います。このとき、電子を奪われたOH-は非常に不安定な状態のOHラジカルになります。
OHラジカルは強力な酸化力を持つために近くの有機物から電子を奪い、自分自身が安定になろうとします。この様にして電子を奪われた有機物は結合を分断され、最終的には二酸化炭素や水となり大気中に発散していきます。
手短に言うと、二酸化チタンに光が当たると、二酸化チタンがその周りにある有機物を分解するということになります。
この二酸化チタンの特性を生かし、紙に二酸化チタンを混ぜた紙があります。
紙の名前はそのものズバリ「エアクリーンペーパー」です。
http://www.heiwapaper.co.jp/products/details/6800070.html
単に紙に混ぜると言っても、簡単なことではありません。紙そのものが植物の繊維ですから二酸化チタンを単に混ぜれば、この光触媒の作用によって、紙自体が酸化しボロボロになってしまいます。
そこで、二酸化チタンの表面をマスクメロンのような皮膜で覆い、直接繊維に触れないようにし、尚且つマスクの隙間から光を受け、光触媒作用を発揮できるようにしたものを、紙の繊維に絡ませて作られています。
二酸化チタン自体は劣化しませんので、光触媒の効果は半永久的に作用します。
この紙で作ったポスターやカレンダーなどを室内の壁にかけておくだけで、室内の空気の清浄化が期待できます。
ただ残念なのは、その効果が目で見て分かるものではないということ。
目に見えない相手と闘っているところを、目で見て確認できないのが少々残念なところではあります。
今では建物の外壁材や、塗料などに光触媒効果を持たせて、防汚効果を高めたり、光触媒による消臭材などが市販されるようになってきました。
身に見えない相手と対峙する紙。
何かの機会に是非お試しください。
※ただし、光触媒の効果は、有機物、有機化合物において作用しますが、ウィルスのような無機物でも有機物でもない存在に効果があるかどうかは検証されていません。
新型コロナウィルスに効果があるかどうかは定かではありませんのでこの点はご注意いただくと同時に、個々での対策をお願いいたします。
厚生労働省の「新型コロナウィルス感染症について」のHPは以下
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html