三星インキ株式会社
印刷物に貼付できるマーク
今までは印刷インキ工業連合会が制定した印刷インキの環境マークを中心に、印刷インキと環境に関連する制度やマークなどを紹介してきましたが、その他にも印刷に関連する様々な環境マークがあります。
今回は印刷物に貼付できるマークを紹介します。
『バタフライマーク』(一般社団法人日本WPA(日本水なし印刷協会))
平版印刷を行う際、本来はインキ(油)と湿し水の反発で画像を形成して印刷していますが、湿し水には水の表面張力を低下させる表面調整剤、水のpHを適正にするpH調整剤、その他にも防腐剤などを混合したH液と呼ばれる液、その他にもアルコール(IPA:2-プロパノール、イソプロピルアルコール)を添加しています。
また、印刷時には印刷物同士が裏移りをしないように使用する裏移り防止剤(コーンスターチ)や乳化したインキ等も湿し水に細かく混入したりする為、そのまま廃液を流す事はできず、廃水処理を行う必要があります。
そこで、湿し水の代わりにシリコン等を使用してインキと反発させて画像を形成する印刷方式、すなわち印刷時に湿し水を使用せずに印刷する『水なし印刷』と呼ばれる印刷方式があります。
この『水なし印刷』は名前の通り、湿し水を使用しない事から廃水が発生せず、処理を行う必要がない事から環境に優しい印刷方式の1つでもあると言われています。
この環境に優しい印刷方式である『水なし印刷』を推奨する協会として、一般社団法人日本WPA(日本水なし印刷協会)があり、協会が定めた認定基準をクリアした印刷物には『バタフライマーク』を使用する事ができます。
『環境保護印刷マーク(クリオネマーク)』(E3PA(環境保護印刷推進協議会))
印刷インキだけではなく、製版や印刷企業、それらを生産するための資機材・技術・製品等の印刷に関する周辺材料、すなわち印刷業界全体について基準を設け、環境への意識を高めることを目標として設定された制度であり、各基準をクリアして印刷された印刷物には『クリオネマーク』を付ける事ができます(この『クリオネマーク』は流氷の天使と呼ばれるオホーツク海のきれいな水に生息するクリオネをベースに図案化されたとの事です)。
この制度は『枚葉オフセット印刷』向けと『オフセット輪転印刷』の2パターンが存在しており、それぞれの印刷方式によって基準が異なり、更に基準の優位性によって3段階(シルバー・ゴールド・ゴールドプラス)に分けられており、製造工程や印刷資材などの環境配慮の度合いが一目で分かるようになっています。
『GPマーク』(一般社団法人 日本印刷産業連合会)
従来の印刷製品の環境マークが、紙やインキ、または製造工程の一部を対象にしているのに対し、GPマークは資材から工程までの総合的な環境配慮マークとの事で、印刷物にGPマークを表示することで、印刷資材、製造工程、印刷会社がどのような環境への取り組みを行っているか(配慮されているか)が一目瞭然になるとの事です。
この制度もGPマークが☆の数によって環境配慮の度合いが高いことを示しており、☆3つが最も度合いが高いことを示しています。
以上のように、印刷インキだけに限らず、印刷物も環境に配慮する事で色々なマークを添付する事ができます。