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平和紙業株式会社
良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②-

良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

寸法から見た、紙と板紙の明確な区別が難しいながら、板紙が単に厚い紙というだけではないのではないかと思い始めました。
板紙は、分類上、段ボールを作るための「段ボール原紙」、箱などパッケージを作るための「紙器用板紙」、この他建材や紙管などの用途に使われる「雑板紙」に大別されます。

パッケージなどを作る「紙器用板紙」は、更に「白板紙」「黄板」「色板紙」に分類されています。
今回テーマにしている板紙は、パッケージなどを作る「紙器用板紙」の中の「白板紙」を主に指しています。
「白板紙」は、紙の片面又は両面が白い厚紙で、表層にコート層を設けたコートボールと、非塗工のノーコートボールに分けられます。

「白板紙」は、「高級白板紙」「特殊白板紙」に分類されます。
「高級白板紙」は、アイボリーとカードに分類され、アイボリーはフレッシュパルプ(バージンパルプ)100%の高級な板紙、カードは安価なパルプや上質系古紙、脱墨パルプなどを使用しています。
「特殊白板紙」は、高級白板紙の片面塗工品の一部を、安価な原材料を使用することで、価格的にもこなれた価格帯とし、主に食品や薬品の包装用として蛍光染料を使用せず作られたものです。

そして、「高級白板紙」は、もともと、コート紙の厚いものを更に厚くしたもので、印刷の再現性など重視され、カタログやパンフレットの表紙などに使われることが多く、「特殊白板紙」は、こなれた価格と食品や薬品のパッケージ向けに作られたものと言うことです。

コート紙、つまり印刷用紙の延長線上にある板紙と、最初からパッケージ向けに作られた板紙、この差が、板紙の寸法に影響を与えているのではないかと言うことです。

そこで、板紙の中でも「高級白板紙」に分類される板紙の銘柄を見ていくと、788×1,091mmや、790×1090㎜、636×939㎜や640×940㎜などの寸法が多いのに気づきます。
つまり、印刷用紙として一般的な四六判(788×1,091㎜)と、菊判(636×939㎜)をベースとして作られたことが、おぼろげながら分かってきます。
(紙業界では板紙の寸法については、「センチメートルを単位とし、小数点1位を四捨五入する」としています。従って、788×1,091㎜や636×939㎜は、実際には「板紙」ではなく、「紙」に分類されるのですが…。)
また、こうした板紙の使用用途を見ると、「出版表紙」「カタログ」「パンフレット」が主な使用用途であることも分かります。

印刷用紙の延長線にある厚い紙ですから、印刷後の仕上げは断裁仕上げとなり、印刷用紙同様にその寸法も印刷用紙の延長線にあると言うことになります。

では、パッケージ向けの厚い紙は、どうかと言うと、パッケージなどは、印刷物のように、A4、A3と言った定型寸法がないので、パッケージの大きさや形状によって、その展開を都度都度面付する必要があります。極力多く、無駄なく面付するためには、少しでも紙の面積が大きい方が効率的です。
とは言え、印刷機の大きさは決まっているので、印刷が出来る範囲で、尚且つ少しでも面積を大きくするため、四六判(788×1,091㎜)より大きなL判(800×1,100㎜)が必要となりました。L判の“L”は、LONGのLだと言われています。全体的に少し長い寸法と言う意味でしょう。

また、パッケージは、カタログなどの印刷物の仕上げとは違い、その多くは抜き加工、所謂トムソン加工が主流です。そのため、印刷時には、印刷の咥え(くわえ)と共に、トムソン加工時の咥え(くわえ)が必要となり、その分、サイズが大きなサイズが必要だったことも寸法が大きくなった要因だと思います。

そのために、関東では印刷物の主流が出版であった為、印刷用紙の菊判(636×939㎜)をベースにしたK判(640×940㎜)が板紙の寸法に採用されましたが、紙器加工が主流であった、関西では更に一回り大きな特K判(650×950㎜)が求められるようになったと考えられます。
この特K判は、関西K判ともいわれ、640×940㎜のK判を、関東K判と呼んだりもします。

とは言え、板紙と言えども、厚みも豊富なラインナップを持つものが多く、厚みの薄いアイテムは、カタログやパンフレットにも使えるし、厚いアイテムは、パッケージにも使えるといった守備範囲の広さが、寸法にも影響を与えているのではないかと思います。

パッケージ用紙を選ぶ時、紙肌や、印刷適性だけではなく、その寸法にも目を向けられるようになると、紙のプロっぽくみられるかもしれません。

写真1 | 良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)ポストカードや、写真集、カレンダー、名刺などの用途に使われる、比較的厚い紙は四六判(788×1,091㎜)や菊判(636×939㎜)の寸法の方が都合が良いのでしょう。(日本製紙グループHPより

写真2 | 良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)出版の表紙や、POP、パッケージにも使える、オールマイティーな板紙は、L判(800×1,100)やK判(640×940㎜)の寸法が用いられやすいと思われます。(日本製紙グループHPより

写真3 | 良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)パッケージが主な用途の場合には、L判(800×1,100㎜)K判(650×950㎜)が用いられる傾向にあると思われます。(日本製紙グループHPより

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写真1 | 良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真1)ポストカードや、写真集、カレンダー、名刺などの用途に使われる、比較的厚い紙は四六判(788×1,091㎜)や菊判(636×939㎜)の寸法の方が都合が良いのでしょう。(日本製紙グループHPより

写真2 | 良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真2)出版の表紙や、POP、パッケージにも使える、オールマイティーな板紙は、L判(800×1,100)やK判(640×940㎜)の寸法が用いられやすいと思われます。(日本製紙グループHPより

写真3 | 良く分からない紙の世界 -「紙」と「板紙」②- - 平和紙業株式会社 | 活版印刷研究所

(写真3)パッケージが主な用途の場合には、L判(800×1,100㎜)K判(650×950㎜)が用いられる傾向にあると思われます。(日本製紙グループHPより