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三星インキ株式会社
『印刷インキ・色イロ』 03.インキが出来上がるまで

『印刷インキ・色イロ』03.インキが出来上がるまで

次にインキをどのように製造するのかについて説明させて頂きます。
インキ製造工程の流れは簡潔にまとまると画.aのようになっています。

インキ製造工程の流れ

(画.a)インキ製造工程の流れ

インキの種類によって製造工程は若干異なりますが、基本的には色材をビヒクルに均一に分散させ、印刷方式に適した硬さに調整するという工程であり、この中で最も重要な工程が分散・練肉という工程です。

みなさん、印刷インキの色はどのように付けているのかご存知でしょうか?よく言われるのが水や油等に色材を溶かして着色しているのではないかと。確かに色材(染料)を溶かして着色する方法もありますが、基本的に印刷インキに使用している色材のほとんどは顔料と呼ばれる水や溶剤には溶解しない物質を使用しています。では溶解しない色材を用いて、どのようにインキを着色しているのか。それは顔料を微粒子になるまで細かくしてビヒクル中に均一に分散させる事で着色させています。

顔料はもともと非常に細かな粒子(0.1-0.3μ程度)なのですが、あまりに細かい為に顔料同士がくっつきやすく(凝集する)、目で見ても分かる程度まで大きな塊(1mm程度)となり、更に簡単に壊れない程に固くなります。この大きな塊では色や隠蔽性が再現されず、インキの見た目も滑らかさや艶がなく、印刷もしにくく、綺麗な印刷物を得る事ができません。この顔料を元の細かな微粒子にまで分散させる為に使用するのが分散機と呼ばれる機械であり、顔料をいかに微粒子に細かくする事ができるかがインキメーカーの腕の見せ所とも言え、この工程がインキを製造する上で最も重要な部分であります。

一般的に顔料を分散させる分散機として、ロールミル法、ビーズミル法が代表的であります。

『印刷インキ・色イロ』03.インキが出来上がるまで

インキ製造工程の流れ

(図.a)インキ製造工程の流れ

・ビーズミル
ビーズミルとは、円筒形の縦、もしくは横型の密閉式容器内に入っているビーズ(鉄鋼やセラミックでできた球体。球の直径は目的に応じてさまざまなものが用いられる)が、容器内にあるローター(魚の骨状)の回転により撹拌されます。このビーズ同士がぶつかる衝撃により、ビヒクルに顔料を細かく均一に分散させます。ビーズミルは低粘度インキ用ベースインキの練肉に適しており、流れが出やすいインキの練肉に主に使用されます。

ビーズミル概略図

・ロールミル
ロールミルとは回転数、回転方向が異なる3本のロール(主に金属製)が組み合わさってできており、この3本のロールの間にインキを通し、ロール間の圧力と回転差による剪断応力(せんだんおうりょく)を利用して顔料をビヒクルに分散させます。ロールミルは高粘度で、低流度のベースインキの練肉に適しています。

ロールミル概略図

その他にもフラッシングベース法(水に分散させた顔料ベースから水と溶剤(ビヒクル)を置換する)等もあります。
これらの分散機で顔料を分散させた後に調整を行い、印刷インキとして出荷されます。

但し、特殊な印刷効果を有するインキ(金・銀・パール)については、色材として使用している顔料は鱗片状を有しており、その形状によって印刷効果を再現しています。従って、一般の顔料と同様に強いシェアをかけて顔料を微粒子化すると効果がなくなる為、一般の色インキとは異なる分散方式にて製造しています。

インキが出荷される前に、生産された印刷インキが適正な性能を有しているのかを確認する為に、インキメーカーでは様々なチェックを行っています。
インキメーカーが確認するのは以下の点です。
①インキの硬さ(流れ・粘度・曳き)
②色(色相・濃度・光沢)
③印刷時の性能(乾燥・ノンスキン・耐水性)
④印刷物となってからの性能(耐摩擦性・耐光性)

上記以外にも原反に対する密着性やUVインキの硬化性等、必要な性能に合わせて確認するポイントが多く存在しています。

インキメーカーの立場からしますと、仮に特殊な原反に印刷する必要が生じた場合、どのような性能が必要であるか(印刷効果・密着性・後加工性等)を正確に伝えて頂きたいですが、できれば実際にご使用される原反を提供してもらえればと思います。やはり同柄の原反であっても、表面処理からの時間や製造メーカーの差によっては異なる事が起こりえます(特にフィルム等)。従って、できる範囲内で原反の提供をお願いしますし、仮に影響できない場合でも実際の印刷機で確認してもらう事が必要であります。

それでは次はインキの性能を確認する方法について説明します。

ビーズミル概略図

ロールミル概略図