(株)和光
エンボス・デボスの関係2
前回はデータ作成までをご紹介しましたので、製版にかかりたいと思います。データをネガフィルム出力し、上から押し付ける版を真鍮版で製版します。デザインをエンボス、デボス加工をして浮かせたり、凹ませたりしますので、エッジ部分をはっきりと表現しやすくするために、上から押し付ける版は、硬い金属版で製版します。(写真1)
黒く見える部分が版の表面で、真鍮の色が出ている部分が、腐食されて下がった部分です。エンボスとデボスでは、版の表面部分が逆で、目の錯覚で大きさが違うように見えますが、どちらもデザイン部分は同じ大きさです。中央にあるのは、今は徐々に貴重になりつつあるネガフィルムです。印刷の刷版を製版するには欠かせないものですが、昨今のCTP化の波で、需要が減りつつあり、珍しいものになってきています。しかし、金属版の製版では、未だ一番精度が出る製版方式のため、必要なものです。
つぎに、下から押し上げて、エンボス、デボス加工の効果を上げてくれる版を樹脂版で製版します。上下から版で紙を挟み込むので、片側の版を少し柔らかい版にして、紙が破れにくくします。そのために、下の版は樹脂をチョイスします。しかし、樹脂版の中でも、一番硬い版を使用して製版します。(写真2)
下の版は、前回ご紹介したように、紙を挟むための隙間を作っているので、エンボス用はデザインより細く、デボス用はデザインより大きくできています。エンボス、デボス加工の下の版を金属版で製版する事もなくはないのですが、加工する紙の厚さ等をきっちり計算して隙間の設定を厳密にしなければならないので、あまり使用されません。きっちり計算され、上下を金属版で加工すると、とても綺麗に加工ができます。私の三十年近い製版の営業の経験の中では、二度しか経験がありません。
それでは、紙がない状態ですが、上下の版を合わせてみましょう。(写真3)
見やすくするために、下の版が上に来ていますが。隙間を作っているため。版同士がピッタリ重なります。やって見るとわかるのですが、ピッタリ重なったときの「カチッ」という感触、私は大好きです。
次回は、お待たせの加工をします。おたのしみに!