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(株)和光
エンボス・デボスの関係

今回は、エンボスとデボスの事案で、面白い事例が有りましたので、考察してみたいと思います。
その事例の詳しい内容は、同じデータを使って、エンボスとデボスの2パターンのご発注という内容がスタートでした。その事案のデータを使うわけにはいかないので、サンプルデータを作っていきます。エンボスやデボスの加工では、上の版と下の版で対象の紙を挟み込んで加工します。版で紙を挟み込むので、その紙の逃し分の隙間を作らなければなりません。
それを考慮しながらデザインの間隔を設定していきます。これが意外と大変です。デザインが複雑になればなる程、チェックしなければならない箇所が増えます。かといって単純すぎるデザインも面白味に欠けます。今回は、私の風体にあまり似合わない花柄で作成します(写真1)。

(写真1) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真1)

エンボス加工とデボス加工では、紙を挟むための逃げの作り方が違います。エンボス加工はデザインに対して内側に、デボス加工はデザインに対して外側に逃げを作ります。そのため、今回データを作成する時に、デザインの幅とデザインの隙間に気をつけて作成しなければなりませんでした。加工がエンボス加工だけの場合はデザインの幅、デボス加工だけの場合は、デザイン同士の隙間に気をつけてデザインします。隙間等をチェックしながらの作業なので、時間がかかりました。花びら同士の隙間、花びら自体の幅等、チェック箇所が多いです。目と頭が痛くなります。デザイナーの方はすごいですね。尊敬致します。

(写真2) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真2)

チェック箇所の主な部分を赤丸で囲ってみました(写真2)。この隙間やデザインの幅等が適切にできているかチェックしなければなりません。エンボス加工のみの場合は、デザイン内の幅、デボス加工のみの場合は、デザイン間の間隔をチェックすればよいのですが、今回は同一デザインでエンボス、デボス加工を可能にしなければならないので、どちらもチェックしなければなりません。花柄は規則正しいパターンなので、各花1箇所チェックすればよいので手間が省けるのですが、パターン化されていないデザインの場合は、一苦労です。だがしかし、この作業を疎かにすると、版を作成した時にエンボス・デボス加工ができない部分ができてしまいますので、慎重にチェックします。
最近、会社のパソコンをmacからwindowsに変更したので、使い方に慣れていないこともあり、ショートカットやキーボード配列の違いに苦労しています。

製版用のデータを作成してみましょう。

(写真3) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真3)

まずはエンボス用データです(写真3)。シアン部分が上から押さえる真鍮版のデータです。元の作成したデータを反転してあります。この版を対象物に押し当てて浮き出させます。スミ部分が下から押し上げるための樹脂版のデータです。浮き出させる部分を下からサポートしてエンボス加工をしやすくする役目をしています。白い部分は紙を挟むための逃げ部分です。この隙間を作成するためにデータの幅、間隔を考慮する必要があります。

(写真4) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真4)

次にデボス加工用のデータです(写真4)。シアン部分が上から押さえる真鍮版のデータで、元の作成したデータそのままです。この版を対象物に押し当てて凹ませます。スミ部分が下から押し上げる樹脂版のデータです。へこませる部分を下からサポートしてデボス加工をしやすくします。白い部分が紙を挟むための逃げ部分です。
次回、製版に続きます。

(写真1) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真1)

(写真2) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真2)

(写真3) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真3)

(写真4) | エンボス・デボスの関係 - (株)和光 | 活版印刷研究所

(写真4)