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三星インキ株式会社
UVインキについて③

UVインキについて④ - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

今回はUVインキを硬化させる為の紫外線について説明させて頂きます。

紫外線とは皆さんご承知の通り、太陽光などに含まれる光であり、あまり人体に良くないと聞かれた事が多いと思います。
ではそもそも紫外線とはどういったものなのでしょうか?

一般的に、紫外線とは200-400nm(ナノメートル)という波長を有する光の事であり、人間が見ることができる光(可視光:380-780nm)よりも波長の短い光の事を指します。

可視光線の波長 | UVインキについて④ - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

そしてさらに紫外線よりも波長が短い光の事を放射線、X線、ガンマ線などと呼び、これらの波長を持つ光は人体や物体などを透過する事はご存じだと思います。
つまり波長が短くなるほど透過性が強くなる事から、紫外線も放射線やX線に比べると弱いですが透過性が強く、人体に当たると皮膚表面を透過して内側の細胞を攻撃してメラミン色素を発生させる、いわゆる日焼け現象を引き起こし、さらに長時間浴び続けると細胞をがん化させて皮膚がんの発症に繋がる原因と言われています。
この強い透過性を利用して、紫外線は殺菌効果をもたせる為に利用されています。

逆に可視光線よりも波長が長くなると赤外線と呼ばれ、一般的には電気ストーブやコタツなどに使用されているのをよく聞かれると思います。
そして赤外線よりも波長が長くなるとマイクロ波、ラジオ波などと呼ばれ、光というよりも電波に近いものになり、より遠くへ伝える事ができるようになります。

波長の距離と強さの関係 | UVインキについて④ - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

これら光の波長による特性を考慮して、人体にできるだけ悪影響が小さく、かつある程度の透過性を有する光である紫外線が使われるようになりました。

一般的に印刷に使用されるUVランプが発する光の波長は270nm-400nm(紫外線)程度であり、この波長の光を受けた光開始剤が開裂を引き起こし、電子を発生する事で重合が進んでいくという事が光重合や光硬化などと呼ばれる現象となります。
そして光の照度が高く、かつ照射時間が長くなるほど重合する反応速度は早くなり、皮膜形成速度もそれに合わせて早くなります。

じゃあ照射強度をガンガンにあげて長時間照射すれば、非常に強固な皮膜を得られるのでは?と思われると思います。
確かに照射条件を強くすると、光開始剤の開裂は発生しやすく、電子が発することから架橋反応は早く、かつ密に進むので皮膜強度は高くなりますが、全て良い方向に進むとは限りません。
前述の通り、紫外線自体が透過性を有する活性の高い光である事から、照射条件が強すぎると皮膜自体や原反を傷つけて皮膜や原反が脆くなる、また透明性の高いインキ(OPニス・白インキ)が黄色く変色する(黄変)、また原反が黄色くなる(紙焼け)といった紫外線の有する特性がマイナスに働く事もあります。
またUVインキも架橋が進み過ぎると体積が瞬間的に大きく収縮するために原反とインキの間に隙間が生じ、密着性の低下が発生するといった事が起こる事もあります。
そして紫外線が色を再現させる為に使用している顔料を攻撃して、褪色・変色させる事もあります(特に鮮明な色調を有する蛍光インキなど)。

このようなマイナスな特性もありますが、紫外線が有する特性(透過性)を用いて印刷する方法がUV印刷と呼ばれる方法であります。
そして最近では、紫外線の有する特性(透過性)を保持したまま、人体や環境に優しい方法としてLEDランプを光源として硬化させる方法が広がってきています。

次回はLEDを光源とした硬化方法について説明致します。

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可視光線の波長 | UVインキについて④ - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

波長の距離と強さの関係 | UVインキについて④ - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所