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三星インキ株式会社
『印刷インキ・色イロ』 02.インキの種類

前述の通り、印刷方式や原材料面などからインキの種類は多岐に渡り、目的に適合したインキを使用しないと望む印刷物を得る事ができません。

インキの種類を表1に簡潔にまとめてみました。

①印刷方式とインキの種類

①印刷方式とインキの種類

表1.印刷方式とインキの種類

表1の通り、印刷方式は同じでも最終製品の品質を得る為に適応したインキが必要です。

①印刷方式とインキの種類

表1.印刷方式とインキの種類
上の画像をクリックすると拡大されます。

②インキの乾燥機構による違い

印刷方式によってインキが皮膜となる機構が異なり、大まかに4つに分類されます。

a)蒸発乾燥

インキ中の溶剤が加熱等により蒸発する事で皮膜を形成します。一般的にグラビア印刷・フレキソ印刷に使用するインキはこの乾燥機構が多く使用されています。

蒸発乾燥

b)浸透乾燥

インキ中の溶剤が原反(紙等)に浸透する事で皮膜を形成します。一般的に活版印刷・新聞印刷等に使用するインキや、インクジェット印刷にはこの乾燥機構が多く使用されています。

浸透乾燥

c)酸化重合

インキ中の乾性油が金属を触媒として空気中の酸素と重合して皮膜を形成します。一般枚葉オフセットインキはこの乾燥機構であります。

酸化重合

d)UV硬化

紫外線のエネルギーを受ける事でインキ中の硬化性モノマー等が重合して皮膜を形成します。
紫外線の代わりにEB(電子線)でも同様に皮膜形成ができます。

UV硬化

以上のように、様々な乾燥機構があり、印刷方式や使用原材料によって分類されます。

蒸発乾燥

a)蒸発乾燥

浸透乾燥

b)浸透乾燥

酸化重合

c)酸化重合

UV硬化

d)UV硬化

③使用原材料

インキに使用する原材料は、インキの種類によって成分が大きく異なる為に非常に数が多く、全てを記載する事は不可能ですが、一般的に使用されているものとして表2のような原材料が挙げられます。

使用原材料

表2.インキに使用する原材料

以上のような多種多様な原材料を組み合わせて製造する印刷インキは、それぞれの原材料が持つ特性を最大限に引き出すように設計しており、印刷機上でのインキの挙動、印刷された後に原反上で皮膜となる際のインキの変化、印刷物となった際に必要な耐性、これら性能を顧客に満足してもらえる事を目的としてインキの開発・製造を行っています。また、これらインキの性能を十分に発揮してもらえるよう、印刷現場でも工夫して頂ければと思います。

以上の事をもとに、活版印刷用インキと平版オフセットインキとの違いとは何かという事を考えてみましょう。
最も大きな違いとしては印刷方式・乾燥機構が挙げられ、活版印刷は浸透乾燥、平版オフセットインキは酸化重合乾燥となっています。従って、乾燥機構に合わせた原材料を使用しており、溶剤の種類や含有量、乾燥剤の有無などに違いがあり、印刷方式に適応したインキの硬さになるよう設計しています。

では活版印刷に平版オフセットインキは使用できないのか。答えはある程度使用できると思います。もちろん専用の活版印刷用インキを使用した方が印刷しやすいと思いますが、活版印刷用インキは平版オフセットインキに近い配合(成分等)であり印刷可能と考えます。但し、乾燥機構に大きな違いがある為、活版印刷用インキと同じような感覚で印刷されると、機械上でインキが乾いてしまうという事がありえますので、その点は注意して下さい。あくまでも万が一の場合に使用すべきです。

使用原材料

表2.インキに使用する原材料
上の画像をクリックすると拡大されます。