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白須美紀
【活版印刷に出合えるお店 vol.1】
デザイン事務所が営む紙ものワンダーランド
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【活版印刷に出合えるお店 vol.1】デザイン事務所が営む紙ものワンダーランドarica - 白須美紀 | 活版印刷研究所

デザイン事務所ならではの、こだわりのセレクト

JR奈良駅に近い住宅街の一角に、雑貨や文具、書籍などの素敵な紙ものが揃う店がある。奈良で活動するデザイン事務所・クロトがプロデュースする、aricaだ。

明るい窓辺に置かれているのは、自分で紙を折ってつくる動物のオブジェ。シンボルツリーのパキラの下には、活版で印刷された和紙の便箋やフランスのアーティストによるノートなど、こだわりの文房具が並ぶ。階段を上がったところは小さな書籍コーナーになっており、絵本やデザイン関連の本が揃っていた。雑貨にしろ本にしろ、どれも一般の店ではなかなか出合えないこだわりのセレクトで、ユニークなものばかり。一つひとつをじっくり楽しんでいるうちに、思わず長居してしまう。

【活版印刷に出合えるお店 vol.1】デザイン事務所が営む紙ものワンダーランドarica - 白須美紀 | 活版印刷研究所

【活版印刷に出合えるお店 vol.1】デザイン事務所が営む紙ものワンダーランドarica - 白須美紀 | 活版印刷研究所

クロトのアートディレクターである井手香菜子さんによれば、aricaを始めるきっかけとなったのは「紙」だったという。かねてからクライアントにデザインを提案するために「沢山の紙見本を用意したい」という思いを持っていたのだそうだ。
「紙の種類は千差万別で、同じデザインでも紙によって大きく表情が変わります。けれどそれをクライアントに伝えるのはなかなか難しくて。どうしたらうまく伝えられるのだろうとずっと考えていたんです」。

そんなとき、クロトの事務所の引っ越しが決まった。移転先は、室内に階段のある一風変わった間取りをしている。そこで、1階と2階の一部で紙のショールームとショップを兼ねたaricaを立ち上げることにしたという。

ショールームの言葉のとおり、一番大きな壁面の棚にはメーカーから取り寄せた個性豊かな紙が、整然と並んでいる。クロトにデザインを発注する顧客は実際に使用する紙をここから選ぶことができるし、買い物客は一枚から購入することも可能だ。小さな紙見本ではなくある程度のサイズがあるため、仕上がりのイメージもしやすい。さまざまな色や質感も楽しくて、いつまでも眺めていたくなるほどだ。

【活版印刷に出合えるお店 vol.1】デザイン事務所が営む紙ものワンダーランドarica - 白須美紀 | 活版印刷研究所

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ワークショップや活版印刷の注文も

紙と同時にaricaがこだわっているのが商品のセレクトで、デザイン性のあるものやつくる楽しみに満ちたものを選んでいるという。その象徴ともいえるのが、店内に設えられたDIYのコーナーだ。アメリカ製の活版印刷の簡易キット「レタープレスコンボキット」やリングノートを作る製本機などが並んでおり、店内で紙を選んでオリジナルノートを自作することができる(※使用料1回500円税別、材料費は実費)。表紙に簡易キットで活版印刷をほどこしてみたり、中の紙を好きに変えてみたりと、自由に手づくりできるのが何とも楽しい。

2017年の秋からは、京都伏見にあるCAPPAN STUDIOと提携し、本格的な活版印刷の受注も始めた。デザイン会社が運営する店だけあり、顧客の一人ひとりとじっくり話をし、目的や用途、納期を見すえて提案をしてくれる。CAPPAN STUDIOのスタッフと一緒にテキンを使ったワークショップなどのイベントも開催しており、関西の活版好きから注目を集めている。

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デザインと紙と印刷の世界をもっと身近に

紙とデザイン、そして印刷。それらを使ったものづくりはすでに馴染み深いものだが、それでもまだまだ新しい表現の可能性に満ちていて、楽しみは尽きることがない。たんに買うだけではなく、つくるところから関われるのならなおさらだ。そんな喜びの世界へと導くために、aricaでは買ったり、つくったり、オーダーしたりと、多彩な入口が用意されている。訪れるわたしたちはさまざまな形でクリエイティブを体験し、紙とデザイン、印刷の世界にいっそう魅せられていくのだ。

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arica | 【活版印刷に出合えるお店 vol.1】デザイン事務所が営む紙ものワンダーランドarica - 白須美紀 | 活版印刷研究所

住 奈良市杉ケ町27-1 1・2F
電 0742-93-6607
営 月〜金曜 11時〜18時30分
  土曜 12時~17時
休 日曜・祝日
交 JR奈良駅

※2018年より、テキンを使ったワークショップを随時開催の予定

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