(株)和光
活(い)きた版 「箔押しその12」
箔押しが一段落し、新型プラットフォームで印刷に取り掛かろうと思いましたが、何か忘れているような気がしてなりません。
そうです、「活(い)きた版 箔押しその7」で「箔版自体に模様を入れることで、箔表現を変化させることも出来ます。〜実験がうまくいったときには、この箔押しもしてみたいと思っております。」
と書いておりました。
今回は、実際に箔押しをしてみたいと思います。
箔押しは、箔フィルムに版の圧力と熱を使って紙等に転写させるものですが、細い線の集合や小さい文字の表現は難しいです。箔押し部分の隙間が狭い所は、周りの箔押し部分の版に押されて、箔フィルムの紙への密着が強くなります。また、隙間部分の版の腐食が浅くなり、熱が籠ります。この2つの現象が重なって、紙に箔が転写されてしうと考えております(写真1)。ある程度は、オペレータのテクニックで解消されますが、隙間が小さすぎると、さすがのテクニックでも解消されなくなります。
実際に箔を押した例がコレです。(写真2)
鮮明でなく申し訳ありませんが、所々必要でない部分に箔が転写されています。
今回は、その現象を利用して、箔表現をしてみます。まずテクスチャーのデータを作成します。このデータ作りが肝です。適切な箔押しの線幅や隙間の設定が必要で、試行錯誤を繰り返して作成します。(写真3)
比較用に上は単なるベタで作成、下にテクスチャーを使ったデータを作成します。これでは分かりにくいので、拡大してみます。(写真3)
四角の連続と言うか、タテ・ヨコ線の集合と言いましょうか、規則性を持ったテクスチャーを作成しました。早速真鍮版(1.2mm)を製版して、ユニットに装着します。(写真5)
Tの文字のヨコが13.4mm、タテが19.6mmなので、いかに細かい模様であるか分かっていただけると思います。
箔押しをすると、どうなるでしょうか?楽しみです。
版で押された線部分は圧力で凹み、版がない所は少し浮いた状態で箔が転写されています。(写真6)
これが、光を乱反射して、模様が浮かび上がります。上の模様が無い箔押しと比べると、効果が分かります。
こうなると、色々試したくなります。次回は色々な模様や製版方法を変えて試したいと思います。
お楽しみにしていてください。