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あみりょうこ
パペルピカド

Noviembre(11月)

(写真1) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真1)

こんにちは。オアハカよりあみりょうこです。10月の中旬から日本に行ってきて、帰ってきてから猛烈な時差ぼけに悩まされていたのですが、ようやく体が慣れてきました。

メヒコの11月のビッグイベントと言えば、死者の日ですが今年は一つも味わうことはありませんでした。後で聞くところによると、ものすごい数の観光客が押し寄せていたのだとか。日本での死者の日の知名度も年々上がっているような印象を受けます。

そんなことよりもこの時期にオアハカにいてしみじみとしてしまうのは、濃い空の青です。雨期が終わって乾季が始まると、空の色が一層濃くなります(写真1)。オアハカのカラフルな街並みとのコントラストのせいか、ついつい目を奪われてしまうというものです。

(写真1) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真1)

Papel Picado

(写真2) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真2)

そんな青い空の中で強烈に目を引くのが「パペルピカド」です。

一番ポピュラーなスタイルは、様々なデザインがかたどられた薄紙を万国旗のように紐に連ねた装飾品です。メヒコでは教会の近くやお店などあちらこちらで見かけますし、日本のメヒコ民芸屋さんやメヒコ料理屋さんなどもこれを飾れば一気にメヒコ感がまして陽気な感じになります。

壁に沿わせて飾るのもかわいいのですが、メヒコでは写真のように何列も連ならせて飾られるのをよく見かけます(写真2)。風が吹き抜けるとバサバサと音がして、その音がとても好きです。

柄や色もよく見るとシーズンやイベントごとに異なっています。例えば、独立記念日近くに飾られるパペルピカドは「赤・白・緑」のメヒコ国旗カラーでデザインも「メヒコの独理にかかわった偉人」や「VIVA MÉXICO(ビバメヒコ)」といった独立記念日に関連したものであったり、結婚式の会場で飾られているのは白一色だったり、という具合です。

日本に帰っていた時に、大阪のART HOUSEさんで展覧会をさせてもらっていたのですが、一緒に展示をした河野ルルさんとの共通の好きなものが「MÉXICO」というわけで、思いっきりメヒコをテーマにした展示にさせてもらいました。

そのことは日本に行く前から決まっていたので、パペルピカドを展示会場のデコレーション用に買っていくことにしました。ちょうど、死者の日の前だったのでいつもよりもパペルピカドが市場などに溢れかえっていたのでラッキーでした。

(写真2) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真2)

死者の日のパペルピカド

上ではパペルピカドはいろいろなイベントごとにあると書きましたが、その中でも一番種類が豊富にあるのが死者の日なような気がします。

通常は万国旗状になってつるすのが多いのですが、死者の日の時には祭壇を作る習慣があり、それを装飾するために1枚ものの四角い形のものや、丸い形のもの、あるいは窓から見えるように吊るす用の長いものなど様々です。

日本に向かう準備と印刷をバタバタと繰り広げている中、ぜぇぜぇいいながから駆け込んだメルカド(市場)は、そのばたばたで時間がないのを一瞬忘れてしまうほどにステキだったのです。

(写真3) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真3)

こちらは定番の万国旗タイプ(写真3)。しかし、形やサイズが豊富なこと!

(写真4) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真4)

これは長いカーテンタイプ(写真4)。こんなに大きいのに、デザインは大味ではなくやはり繊細で細かいのです。

パペルピカドは、切り絵のようですがハサミで切り取るのではなく、伝統的な方法ではノミを使ってかんかんと紙を貫くのだそうです。私が行ったメルカドの中には2軒パペルピカドを扱うお店があったのですが、こちらのお店のものがめちゃくちゃかっこよくて惹かれました。お店の人に聞くと、このお店の家族がデザインから型貫き、販売を行っているのだそうです。なんと、伝統的な方法で手作業で作っているというのです。どうりで作品(そう、もはや商品というよりも作品のようです)からいいバイブスが漂っていると感じたはずです。もう片方のお店で扱っているのは、機械による型貫き製品なのだそうです。

パペルピカドの買い物はとても楽しく、素人の私はデザインや色を見比べたりしていたのですが、結構みんなバンバンと迷いなく買っていくのでびっくりしました。

(写真3) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真3)

(写真4) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真4)

日本で飾りました。

(写真5) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真5)

日本ではあまり見かけないディスプレイですが、死者の日には店の中のガラス窓にこれが吊り下げられているのをしばしば目にするので、やってみたいと思っていたのでした(写真5)。

(写真6) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真6)

近くで見ると、こんな感じです(写真6)。細かーい!

(写真7) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真7)

飾るだけでメヒコ感がアップです(写真7)。河野ルルさんのカラフルな作品と非常にマッチしています。

(写真8) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真8)

(写真9) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真9)

カラフルなものが多い中、黒いパペルピカドも見つけました(写真8)。これはこれで、版画との相性がよくて展示中に「これも作ったの?!」とよく聞かれました。す、すいません、買ったものでした……。

(写真5) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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(写真6) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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(写真7) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

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(写真8) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真8)

(写真9) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真9)

パペルピカドを見た!

オアハカに帰ってきてからパペルピカドをみました。

(写真10) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真10)

ちょっと写真が遠いのですが、お店のロゴなどが型貫きされています(写真10)。真ん丸や細かいラインなどを見ればわかるように、機械で作られたものだと思われます。こちらの方が各段にきれいな曲線やデザインが再現されているのにどういうわけか、伝わってくるものが少なくて何かが足りないような気持になりました。

デジタルとアナログの印刷物を見ているような気持ちに似ている気がしました。人間の手から直に生み出されるものの持つ力のすごさを改めて見せられたような気持ちです。

機械で型をつくってガチャンとひと押しするのと違い、ノミでかんかんとデザインを貫き落としていく様子を想像して、なんて気の遠くなる作業なんだろうと思いました。メルカドのお店のおばちゃんの言葉を思い出しました。

「私たちの家族がこれつくってるんだからね!中でも一押しはこれ!!」

おばちゃんの笑顔が素敵だったなぁ、としみじみ。一生懸命作ったものなんだから、どや顔でおすすめを教えてくれたのも納得です。そんなことを思い浮かべながら、機械製パペルピカドが料理の煙にかすむ様子を見ながらご飯を食べたのでした。

(写真10) | パペルピカド - アミリョウコ | 活版印刷研究所

(写真10)