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三星インキ株式会社
インキ調子を変える補助剤について2

インキ調子を変える補助剤について2 - 三星インキ株式会社 | 活版印刷研究所

今回は、インキ調子を変える補助剤について、細かく説明させて頂きます。

平版印刷の場合、インキ調子を軟らかくすると言っても、インキの曳きを下げる(タックを下げる)、流れやすくする、粘性を下げる など、どのような目的の為に軟らかくするのかによって調整する方法も異なるため、間違った補助剤を使用すると最大限の効果が発揮できません。
一般的に平版印刷に使用されるインキを軟らかくする補助剤としては、メーカーによって呼び方が異なりますが、腰切り剤(コンパウンド)やレヂューサーなどと呼ばれています。
では、それぞれについて説明させて頂きます。

『腰切り剤(コンパウンド)』とは基本的にインキの曳きを抑える(タック値を下げる)補助剤であり、流動性や粘性はあまり大きく変化しません。
インキの曳きが強い場合、紙が剥ける(紙剥け・ピッキング)、次色インキが乗りにくい、後刷りインキの方にインキが取られてしまう(トラッピング不良)等のトラブルが発生しやすく、このようなトラブルが発生した場合に少量添加して印刷して頂くと改善できる事があります。

次に『レヂューサー』とは基本的にインキに流動性を付与させる(流れをつけ、粘性を下げる)補助剤であり、インキの曳き(タック値)を大きく下げる事はありません。
インキに流動性がない場合、皮膜の平滑性が劣る(レベリング不良)、版やブランケットにインキが溜まり転移不良が発生する(パイリング)、インキ壺からインキが版やブランケットに転移しにくくなり濃度低下などが発生する(ツボ上がり)等のトラブルが発生しやすくなりますので、このような場合は『レヂューサー』をご使用頂ければと思います。

以上のように、同じインキ調子を軟らかくする補助剤であっても、目的(インキの曳き、流動性)によって補助剤も異なりますので、できるだけ改善目的に合致した補助剤を使用するようご留意下さい。

次にインキを硬くする方法について

インキを硬くする方法としては、物理的に硬くする方法と化学的反応を引き起こして硬くする方法の2種類があります。
物理的に硬くする方法とは、使用するインキよりも粘性が高く、硬い調子を有する補助剤を添加して硬くする方法であり、平版印刷の場合は粘性調整剤や号外ニスなどと呼ばれる補助剤が該当します。この方法は物理的に硬くするため、効果を得るにはある程度の量の補助剤を添加する必要がありますので、濃度低下などが起こる懸念があります。
もう一つの化学的に硬くする方法としては、補助剤を添加する事でインキ中の樹脂成分同士を化学的に反応(重合・結合)させる、あるいはインキ中の溶剤成分に変化をもたらして高粘度化を図る方法であり、この補助剤を使用する場合は少量の添加で高い効果が得られます。

なお、平版印刷の場合は物理的に硬めとする方法を取る事が多く、グラビア印刷やフレキソ印刷には化学的に硬くする方法を取る事が多いです。
その理由として、平版印刷用のインキは他の印刷方式用インキに比べて元々の硬めのインキ調子である、平版印刷用インキに使用している樹脂や溶剤は常温条件下では安定性が非常に高い という事から化学的な結合等を起こすにはかなり特殊な補助剤を使用する必要があり、その他の性能面で悪影響となる部分が出てしまう為であります。

それに対してグラビア印刷やフレキソ印刷用のインキはインキ調子が軟調であり、補助剤を少量添加するだけで高い効果が得られる、また物理的に硬めの補助剤を添加しても均一に分散させにくい為 等によって、化学的な反応を引き起こす補助剤を使用させる事が多いです。

なお、各補助剤ともあまり多量添加すると、他の性能面に悪影響を与える事が懸念されますので、各メーカー推奨の添加量での使用を順守頂きたいと思います。

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